初めての鍛錬
シロバンテインの成長は著しく、ほんの3ヶ月で普通の魔狼と同じスピードで動けるようになった。
毎日一緒に追いかけっこをしているアーサーも同様で、スピードだけなら魔狼に劣らぬようになっていた。
エルザは目を細めて『アーちゃん公園』で遊ぶ子供達をみながら、ウンディーネに問いかけた。
<そろそろ鍛錬を始めようと思うのだが、どう思う?>
「ええ、今は『神気』を使って早い動きができておりますが、そろそろ『神気』を抑える必要があるかと思います」
<では、『神気』の抑え方からはじめるか……武術はそなた達にまかせるぞ>
「わかりました。わたくし達はシロバンテインに教えることはできませんが?」
<それは我が教える。神狼の戦い方は神狼でなければ教えられんからな>
<アーサー、今日から新しいお勉強じゃ>
「おべんきょう?」
<アーサーが強くなれるように色々おしえてやるぞ>
「うん。わかったよ。僕がんばるっ」
<シロバンテインも横にならべ>
<目を閉じて、身体の中の力を感じてみよ>
「ちから?」
<身体の中に暖かいものはないか?>
「う~んと……おむねとおなかにあるよ」
<胸にあるのが『神気』、腹にあるのが『魔力』じゃ>
「しんき?まりょく?」
<今は言葉だけ覚えておけ。今は胸から暖かいものが身体中に流れておるな?>
「うん。いっぱいでてるよ」
<それを少しにしてみよ>
「どうやって?」
<その暖かいものから出てくるものを、少しづつ少なくなるように考えてみよ>
アーサーの髪が少しづつ光を失い、白銀に変わってきた。
<その調子じゃ。全部抑えきれたようじゃの>
「なんか からだがおかしいよ?」
<身体の力が抜けたような感じか?>
「うん」
<それでよい。まずはそれに慣れる事が鍛錬じゃ>
「がんばる」
シロバンテインはアーサーの横でうんうん唸っていた。
<シロバンテインは出来るまで飯ぬきじゃ>
アーサーはその後『神気』の解放と抑制を繰り返し練習し、日常は抑えた状態でいるように指示された。
シロバンテインも食事がかかっているので、必死で取り組みなんとか『神気』の解放と抑制を会得した。
(まさか1日で会得するとは思わなんだ。アーサーはやはり神の御子なのだな)
エルザは心の中で感心していた。
その後も毎日シロバンテインとの追いかけっこは続け、最初こそスピードは落ちたものの、徐々にスピードは上がっていき、やがて元通りのスピードが出せるようになった。




