精霊王の子育て日記 火編
サラマンダーはノームと一緒に火山を噴火させようとしていた。
前回の噴火から丁度100年が経過し、地下にマグマとガスが溜まってきたからだ。
ノームがマグマ溜まりから火口まで穴をあけ、サラマンダーがガスに点火しようとした時、頭に『生命の女神』の声が響いた。
「おわっ!?」
ドッカァァァーーーーーン
力加減を間違え大噴火させてしまい、火山の三分の一が吹き飛んでしまった。
<あはははは サラマンダー驚かせちゃったみたいね>
「女神様、少々驚いてしまい地形を変えてしまいました。申し訳ない」
<そんなことは、どうでもいいわ。これからノームと一緒に神狼の森に行って子守してね>
「吾が、こ・子守ですか?」
<もうウンディーネとシルフは向かってるから急いでね>
「畏まりました」
あれから8ヶ月子守にも慣れ、洞窟を這い回ってるアーサーを見ながら色々思い出してみる。
初めて抱いた時、燃やしてしまうのではないかと怖かったこと。
料理人から野菜の絞り汁や米の汁を貰い受けたこと。
おむつの交換でおしっこをかけられたこと。
そして、なんといっても可愛い笑顔。
ボーとしているうちにアーサーの姿が見えなくなってしまった。
「御子様! みーこーさーまーーーー」
洞窟の隅から隅まで歩き回り、狩りにでかけているエルザの寝床をひっくり返し、すべての物陰を覗き込んでも見つからなかった。
「御子様、何処におわすのじゃぁぁぁ~~~!」
顔面は蒼白になりブルブル震え涙がこみ上げてきた。
「吾がボーとしていたために、御子様が……守役失格じゃ……」
「サラマンダー?なにしてるの?」
シルフが声を掛けてきた。
「御子様が……御子様が……」
「サ~ サ~」
シルフに抱かれたアーサーが声を上げた。
「御子様?」
「サ~ サ~」
サラマンダーに手を伸ばしニコニコ笑っている。
アーサーを奪うように抱きしめ頬摺りをした。
「御子様、ご無事で」
「「サ~ サ~」
「ん?御子様が呼んでおられる」
「サラマンダー、さっきから何を騒いでんのよ」
「御子様のお姿が見えなかったから、探しておったのじゃ」
「散歩行くって声かけたでしょ」
「そうなのか?」
「ボーっとして聞いてなかったんでしょう」
「すまぬ。それよりも御子様が吾のことを『サー』とお呼びになったぞ」
「偶然でしょ」
アーサーはニコニコとシルフを見て
「しー しー」
とシルフに手を伸ばした。
「本当だっ アタイのことを『シー』って呼んだ」
(御子様は、吾のことを一番に呼んでくださった。何があっても吾は一番に御子様の元に駆けつけねば!!)
拳を握り締め決意を新たにしているサラマンダーの横でシルフはおむつの交換をしていた。




