武術修行 風編②
アーサーは5歳になった。
3歳から武術の鍛錬を始め、2年間『水の技』と『風の技』の防御のみの鍛錬を積み重ねてきた。
4人の精霊王は、今後の指導方針を話し合っていた。
「そろそろアーサー様の防御は完璧になってきたわね」
「そうだね。魔狼の攻撃も全て受け流したりかわしたりできるようになったからね」
「では吾が攻撃を教える番だな」
「え~~~ ノーちゃんがやる~~~」
「今までアーサー様は魔狼達の動きを見ておられますから、風の動きが一番馴染みやすいのではないかしら?」
「アタイが最初でいいの?」
「御子様は全ての属性を使いこなす素養があるぞ?」
「ノーちゃんもおしえる~~~」
「それぞれの属性の武術を本格的にお教えすることにしましょう。ただし、アーサー様が混乱されないように気をつけるのですよ」
「ウーちゃん、魔術はどうするの?」
「武術の合間に少しづつお教えしても構いませんわよ」
アーサーの戦闘教育が本格的に始まることが決定した。
「アーサー、今日から攻撃も教えるわよ」
「やったぁ」
「いままで鍛錬してきた防御の中から攻撃ができるようにならなきゃだめよ」
「どういうこと?」
「攻撃に気をとられると防御が疎かになるだろ?」
「そっか、逆に受け流されると僕がやられちゃうもんね」
「そういうこと」
シルフはアーサーに自分を攻撃してみるように指示した。
「えいっ!」
「アーサー、手だけで殴ってもだめよ。もっと身体全体をつかわなきゃ。
足、腰、肩、腕、拳の順番に渦をまくように…」
ブンっとシルフは見本をみせた。
「すごいや」
「さっきアーサーがやったのは、そよ風みたいだろ?アタイがやったのは竜巻」
「ふ~ん あのグルグル回る力が凄いんだね」
「今度は蹴ってごらん」
「えいっ!」
「蹴りも同じように腰をまわすように」
「えいっ!」
「そう、いい感じ。蹴った足を軸にして次は反対の足で」
「えいっ、えいっ!」
「それをくりかえせば、本当に竜巻みたいでしょ?」
「えいっ、えいっ、えいっ……」
パタ
「シルフ~~~~目が……」
「あははははは 頭も一緒にまわしちゃ目がまわっちゃうよ。目はいつも相手をみるのよ」
「うん、わかった」
「さあ、もう一回殴ってごらん」
「えいっ!」
「アーサー、手に始めから力入れちゃだめだよ。始めは力を抜いて、当たる時に力が入るようにしてごらん」
「えいっ!」
「そうそう、そのほうが早く動けるんだよ」
その後、風の攻撃技の型をならい最初の攻撃鍛錬は終了した。