神の御子誕生
天上界で『知の神』は難しい顔して地上が見える水鏡を覗いていた。
「う~ん、なかなか居ないもんじゃな」
「何を探しておられるのですか?」
「魂の綺麗な者じゃよ」
「また、巫女探しですか?」
「そう、フレデリカも母親になったしな」
「そう言ってまた少女ばかりみてるんでしょ」
「当たり前だ、美少女は宝じゃぞ」
「こんなロリコン変態親父が神様とは嘆かわしい」
「誰がロリコン変態親父かっ」
「あ・な・た ですよ」
「そういえばフレデリカが子供を見せてくれる日じゃなかったでしたっけ?」
「そういえばそんなこと言ってたよな」
「フレデリカに似てたら可愛いでしょうね」
「どれどれ」
『知の神』と『生命の女神』が水鏡を覗きこんだところ、国王が胸を貫かれ、フレデリカが子供をかばって斬られたところであった。
『神よ この子を・・・・・・』
「おわっ いかん!」
慌てて『知の神』は赤ん坊を転移させた。
おぎゃーおぎゃーおぎゃー
天上界に赤ん坊の声が響きわたっていた。
「なんで此処に転移させたのですっ」
「いや、すまん 急だったもんで場所が重いつかなんだ」
「幸いこの子は魂が綺麗だから大丈夫でしたけど、他の子なら消滅してましたわよ」
「フレデリカの子であるから大丈夫だと思っておったよ。わっはっは」
「神様が嘘ついちゃダメでしょ」
「スイマセン」
「おや?この坊や、金髪に金の瞳だったかしら」
「ん?フレデリカと同じ髪だったぞ?」
「どういうこと?『恥の神』ならわかるでしょ」
「字がまちがって「うるさい」」
う~んと考え込んで、手をひとつ打った。
「そういうことか。転移して身体を再構築するときに、天上界の神気で身体が作られたんじゃ」
「それで、どうなるの?」
「ほぼ神じゃな」
「ほぼ?」
「まだ使命をもっておらんからな。それに肉体をもっておる」
「坊やの肉体は人間と同じなの?」
「身体能力、魔力に合わせて神気ももっておるから、神龍アレク以上だな」
「そんなんじゃ人間世界に帰せないじゃない」
「使命を与えて神にするしかないかの?」
「どんな使命をあたえるの?」
「世界中の美少女「却下」」
「人間の数が多くなって管理しきれんから、人間を正しく導く『道徳の神』なんてどうかの?」
「それはいいわね。不道徳な神が管理するより人間も幸せになれるわ。
神の養子として育ててやりましょう」
「ワシが父親か?」
「それ以外に誰がいるのよ」
「でもどうやって育てるんだ?肉体を持っている以上食べ物も必要だし、成長にあわせて教育も必要だぞ?」
「神狼の森で神狼エルザを乳母として育てます。守役は精霊王達ね」
「エルザなら乳もでるし、大きくなっても食料を調達できるな」
「精霊王達には魔術や武術、人間としての知識を教えさせるわ」
「神としての知識はどうする?」
「『知の神』と『生命の女神』が親なのよ?加護の力で魂に刻めば済むでしょ」
こうしてアーサーは神の御子となった。