第5話
女の子の家に着いた。
なんて言うんだっけ、こーゆーの、ログハウス?木でできた家。
さすが異世界、赤ずきんちゃんのおばあちゃんの家みたいな家。
いい感じの家だけど、台風とか地震とか大丈夫なのかこれ?
てゆーかこんな若くて可愛い女の子の家に入っちゃっていいの俺?この『貧乏人の服』装備のみのクソダサの俺が入っちゃっていいのかな?なんかドキドキしてきた。
「どうぞ」って言われても緊張して「ウ‥ウス‥」としか言えなかったよ、親戚の男子中学生に話しかけた時にこんな返事されたよ。あの時はなんだコイツって思ってごめんね‥。今ならお前の気持ち、なんとなくわかるよ。
言われるままに座ってたら、女の子が食べ物出してくれた。
スープ?ポトフ?みたいなやつ。
ニンジンらしき物とジャガイモらしき物が入ってる。
なんだろ‥?これ食っても大丈夫かな‥俺、お腹弱いんだよな。
でもめちゃくちゃ腹減ってるから、勇気出して食ってみた。
‥‥うまい。普通にうまい。
いや、すっげーうまい。薄味だけどうまい。
空腹は最高のスパイスってやつかな‥本当なんだね‥。空腹だけじゃないからね、靴ずれと股ずれと足裏に刺さった小石の合わせ技一本だからね。そりゃうまいよ。
「おかわりありますよ」って言うからおかわりしちゃった。だってうまいんだもん。
うまいうまいって食ってたら、女の子も嬉しそうな顔してる。それだけでも、もうメシが3倍うまいよ。
可愛い女の子、最強にして最高。
キミの笑顔のために俺はいくらでも食うよ。
どれだけ怪しい食べ物でも、俺は食べてみせるさ!
‥‥あ、でもなんかだんだん物足りなくなってきたな‥薄味だからなぁ‥。
醤油とか入れたいな‥醤油ないよな、ここ異世界だもんな‥具材ですらちょっと違う気がするもんな‥。
何にでも醤油かけて食うからお母さんによく怒られたしな、良くないよな。
諦めてこのまま食うか‥いや、ダメ元で聞いてみよう。
「お母さん、醤油ある?」
やっちまった。
やめて、そんなきょとんとした顔で俺を見ないで。