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アヤセ公国の目論見

5月25日。アヤセ公国でミーティングが開かれた。新米エージェントのラミアはハビエルとフーコーを交えてベルダたちの近況を報告した。その上で[週刊少女コリス]の最新号を彼らに見せた。「悪くないな」「だがコレだけではまだ不充分だ」もっと女王たちをのめり込ませる必要がある。例えば雑誌の付録に魔法戦士のコスチュームの試作品を付ける。「でもソレでは採算が取れませんわ」「ならば割引券はどうだ?」ハビエルは続けた「5000ワイオンの割引券を付ける」試作品は1着10000ワイオンかかるとすれば半額で手に入る。しかも完全受注生産だから在庫を持たなくて済む。もちろん1人1着限り。割引券は試作品限定。だが王族社会にコスプレ文化はない。どころか下手をすれば服装倒錯だとみなされる恐れがある。「マリー・アントワネットはファッションリーダーだったじゃないか」「そうでしたわね」「王族社会でのマリーの人気は?」「微妙ですわ」「だったらマリーをヒロインにした小説を連載に載せたらどうだ?」サキたちが所属する雑誌社[ロンパールーム]には時おり読み切りを載せてもらう新人女流作家がいた。[青いオカリナ]は太刀掛秀子の作品をノベライズ化したものだ。「コレを書けるならフランス革命だって書けそうだな」[青いオカリナ]はフランスともロシアともつかぬ革命の物語。ユエはまだ16歳だが[黒猫館]のリメイクに挑戦するなど意欲的。主人公の村上に親友の宇賀神を加え、村上はアリサ。宇賀神は妹のミフユを受け持つ。徐々に未亡人やメイドが加わり、黒猫館はクライマックスを迎える。宇賀神とミフユは原作にはないキャラクターだが、2人と4人にした方が人数的にはスッキリする。彼らは2人がかりで若い女性に責め立てられ、徐々に爛れた関係を構築していく。ユエにマリーをヒロインにした連載をしてもらうことでベルダたちにファッションリーダーとしての自覚を持ってもらう。カレンとミレーヌはチアガールとしての素質があるが、ベルダとイルマは未知の素材。特に第一王女は3月に女子校を卒業し、コスプレしようにもその舞台がない。「女王と第一王女には舞台が必要だ」「そうですわ。でもカレンとミレーヌは最近サッカーの試合に出てますわ」「なんだと」まさかあの2人にサッカーの素質があるとは。「ならば第二王女と第三王女も加えんといかんな」とりあえず雑誌の付録に割引券を付けること。次にユエにマリーをヒロインにした小説を書いてもらうこと。できれば読み切りではなくて連載が望ましい。最後にベルダたちにコスプレする舞台を用意すること。さっそく割引券とユエの連載はメドがついたが、問題は女王たちのコスプレ。カレンたちがレギュラーになればアヤセ公国のもくろみは瓦解する。だが幸いにも彼女たちは準レギュラーであり、必ずしもベンチに入るわけではない。[ツバサ主将]は女の子にも人気があり、ジュスティーヌ女学院のレギュラー争いは激しさを増した。でもサークルだし顧問はおらず、試合の日だけ監督してくれる人をレンタルしてくるのだ。お姫さまたちをのめり込ませるには華やかな舞台が必要であり、露出度高めのコスチュームはもちろん照明が意外と大事。[スポットライトを浴びる快楽]をベルダたちにしっかり植え付ける必要があった。しかもふだんあの美人母娘はなかなか4人揃わない。だからこそお姫さまそろい踏みでスポットライトを浴びてもらう必要があった。だがラミアは焦らなかった。予定ではベルダとカレン組が6月28日。イルマとミレーヌ組が6月29日に参戦。まだひと月以上もあるし、ある程度後ろにズレ込んでもなおお姫さまたちは8月あたりで息が切れる。となれば聖天使の休息が必要。具体的には訓練や対戦を1ヶ月お休みし教護院に入ってもらう。独房との違いは地元の村人との交流があり、開かれた仮投降制度であること。やはりお姫さまたちを迎え入れる以上[虜囚の身に堕ちた]とは思わせたくない。このあたりがリアルの女の子との違いであり、王族はやはり庶民以上に自身の扱われ方に対して敏感なのだ。[真夏に丸1ヶ月お休みが取れる]となれば参戦に踏み切りやすいし、ベルダにはダブルがいた。2つ歳下の義理の妹のヘルガがダブルの役目を務めてくれる。ダブル操作は2年前から行われており、夫にして国王のアザルド大王主導で進められた。表向きはもちろん有事への備えだが、彼には妻や娘たちを異世界へ参戦させることで殿方から性的な訓練を施されることを望んだ。というのもこのままでは娘たちに出逢いがなく、妻は政務に忙殺されて容色が衰えてしまうからだ。でも世界線を超えればベルダたちは生身の人間から精神体に変わるし、精神体に変われば魔法が使える。すでに妻はレスの期間が10年を超えたから参戦資格を得た。参戦は満10歳からできるのでイルマたちにも当然参戦資格が与えられた。

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