スージーとサラの訓練
6月28日。スージーとサラはアヤセ公国でエレナたちと訓練を行った。私たちは事務所の更衣室で嬉々としてコスチュームに身を包んだ。[時の間]でラミアと3人で呪文を唱えた。事務員は白のテニスウェア。「トモトモ、ハシタワ、コッべケス。トモトモ、ハシタワ、コッべケス。トモトモ、ハシタワ、コッべケス」すると目の前のゲートが開き、私たちはアヤセ公国にいた。訓練場所は廃キャンプ場。私たちはマリアに温かく迎えられた。「初めましてスージー。私はエレナ。よろしくね」「よろしくエレナ」「初めましてサラ。私はカミラ。よろしくね」「よろしくねカミラ」エレナは赤。カミラはパープルを基調にしたチア。訓練時間は休憩15分を挟んで1時間。30分のミニゲーム2本が通例だが初回のみ違う。まずはジャンプの練習。私たちは少しずつジャンプし、徐々に高さに慣れていく。初めは怖かったが、私たちは手を繋ぎ、飛べる高さを伸ばした。「7、8メートルじゃダメ?」「ソレじゃあ角度がつかないわ」理想は30メートルだが私たちは15メートルが限界。次に上からのキックだが、両足を揃えずやじろべえのように股を広げ、片足に重心を乗せてキックする。2体の人型のサンドバッグに向け、私たちはジャンプして上からのキックを試みた。私たちはコレを[マジカルキック]と名付けた。技に名前がないと後で訓練ノートをつける時に面倒だからだ。初めはかすりもしなかったが、徐々に当たり始めた。次に守備の練習。私たちはまずマリアのキックを受けた。白のブーツとアームカバーは私たちと同じメーカー。エレナたちはまず5分の力から始め、徐々にギアを上げていく。私たちは彼女たちのスピードとパワーに驚きながらも徐々に馴らされていった。休憩に入ると私たちはマリアとの雑談に花を咲かせた。「後半は地上戦での攻めを教えるわ」「たくさんある?」「せいぜい6つよ」後半は地上戦の練習。ハイキックとミドルキックとローキックを教わった。徐々に慣れてくると次はラリアート。コレはアームカバーで受けられやすい。ラリアートは左腕で繰り出し、次のアッパーやローキックへと繋げていく。つまり見せ技。私たちはさっそくラリアートを繰り出したが、私は次の技までいけず、どうにか娘は右のアッパーに繋げた。「コレは若い子向けね」「三十路にはちょっとキツいかもね」私はミドルキックとローキック。サラはハイキックとローキックのコンビネーションを磨いた。「ねえカミラ、上からのキックは他にないの?」「回転キックがあるけどね。あんまりお勧めしないわ」回転キックはひねりを効かせるから威力は増すが体力を消耗する。後半にバテてくるから魔法戦士に定着しにくい技。最後に私たちはフローラルとバイシクルを学んだ。前者は娘や妹向け。フローラルは横に1回転してからだを沈め、下から突き上げるようにアッパーを繰り出す。小柄でバネの効いた子向け。バイシクルは下から突き上げるようにキックを繰り出すが、足が長くて大柄な子向け。もし小柄だと縦に1回転してからフワリと着地した瞬間が不安定。敵との距離感が短いのが怖い。フローラルは大柄だと俊敏さに欠けるため、からだを沈める頃には敵にやすやすと受けられてしまう。私やベルダは大柄で俊敏さに欠けるから難しい。問題はハイキック。できれば序盤から繰り出したいが、ソレだと後半バテてしまう。かと言って後半から繰り出すようじゃ先生方に出鼻を挫かれちゃう。上からのキックから地上戦に至るまでの流れを基本線と呼ぶが、私たちは基本線が固まらぬ中で訓練を終えた。帰宅した私たちは訓練ノートをつけた。もちろん対戦ノートもつけるが、私たちはため息をついた。「私たち先生方とやれるかしら?」「いざとなれば泣き落としがあるわ」いやソレは使いたくない。ドロシーとルーラからは質問責めに遭うし。私たちは話し合いを重ね訓練は特製。対戦は正規のコスチュームに決めた。いずれも特製コスチュームはミニスカートじゃないから。ナルシスだって私たちのミニスカート姿を拝みたいはず。ベルダたちは体操服にブルマーだからなおさら先生方のすまた責めを警戒した。訓練を終えた私たちはホッとした。あとは来週の本番を迎えるだけ。[牝牛たちの嘆き]はヒルダたちが教護院に収容された。[ミコト]も[シイカ]も3戦して1勝1敗1分けだから悪くないが女王と第一王女は政務。第二王女と第三王女はサークルで疲弊の様子。カヒーナとミランダはバスケサークルでレギュラーを務めた。カヒーナはフェイダウェイができるし、ミランダはドリブルがうまい。ヒルダたちの身柄はエイジたちに引き渡され、魔力封印の儀式が始まり老女封魔師が呪文を唱えた。「アザラク、エッサイム、ナイナイパ」すると女王たちはからだの力が抜け、股を開いたはしたない姿をさらけ出された。4人は彼らに護送され教護院に収容された。