表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
唯一の春  作者: 兎田
8/21

02平凡な日常<囚われの唯人>

ドンッ

ガシャーンッ

ドンドンッ

神亀会の本家で地面が揺れるような音が響き渡る。

唯人が地下室で暴れているのだ。


頑丈に出来た地下室内はいつもであれば一般的な客室として機能しているのだが、現在は部屋中の物が壊され破壊の限りを尽くされている。ベットですら原型を保っていない程だ。

特に荒れているのは唯一の出口である重厚な鉄で出来たドア付近だ。そのドアは外側から何重にも鍵を掛けられそのうえから鎖までつけられている。ドアの前にはガタイの良い見張りが二人立っている。

その光景からは絶対に唯人を地下室から出さないという意志を感じられる。


唯人が父親つまり神亀会会長の命令を無視し、春麗を探し出そうとしたので閉じ込められたのである。

春麗が行方不明となった翌日、懇意にしている中国のマフィアグループから連絡があり人探しを命じられた。しかし、それを無視しして部下と共に春麗を優先して探そうとしたので、閉じ込められてしまった。

これから重要な関係を結ぶかもしれない中国マフィアグループの依頼を神亀会の跡取りが無視したとなると大問題になる。だから会長は苦肉の策で唯人を外に出さないことにしたのだ。



ガンッ

「くそっ…」

すでにボコボコにへこんだドアに椅子を投げつけて悔しそうな声を出す唯人。

中国からお忍びで来日してるマフィアボスの娘を探すよりも春麗の方が大切なのに…!見たこともない女より自分のせいで巻き込まれた春麗の方が心配だ。


なんとかこっそりと予備のスマートフォンを持ち出せたから佐原を通してこっそりと春麗の救出を試みているものの状況は好転しない。佐原が動かせる人員では鳳凰会には敵わない。


鳳凰会に潜らせている下っ端によると、春麗は無事にホテルの一室に監禁されてはいるらしい。詳しい情報まではわからないが、鳳凰譲之助が毎日春麗の元へ顔を出しているとのことだった。


誰とでも仲良くなれる春麗なので譲之助に気に入られたのか…?それとも俺の情報を引き出そうと拷問でもされている?

もう春麗が攫われて一週間が経つということもあり焦りが加速される。


佐原からの連絡によると、春麗の居候先の家族は警察には連絡していないらしい。まだ警察に連絡してくれていた方が春麗を助けてくれるかもしれないと思ったのだが、春麗が行方不明で家の中が騒がしいものの公的機関は頼っていない。


春麗は中国の大きな企業の社長令嬢らしいので大事にしたくないから警察に連絡を入れないのだろうか?




この手は最終手段だと思ってたが仕方ないか…。

唯人は出来るだけ冷静さを取り戻すと暴れるのはやめて室内のものを漁り出した。


そして一時間後…、これまでにない大きな爆発音が神亀家を揺らした。


ドゴォオオンッ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ