日陰から見る青空は、美しい。
彼女は白雪姫の様に眠る。
僕は只、それを見守るだけの存在。きっと相応の王子様がやって来て、キスをすると目を覚ますのだろう。その時、僕の役目はきっと終わる。
僕はいつだって日陰なんだ。あの時の君も、高嶺の花だった。
高校を卒業して暫く、就活も始める大学三年生。僕はいつもの駅のホームにただ何となく立っていた。
僕は弓を肩に立て掛け、ふと思い出す。あの時、変わり果てた君は言った。
「ずっと待ってたのに……」
忘れられない。胸が締め付けられる。あの時の君は助かったのだろうか。どうにかなって僕は今、ここにいる。
もしかしたら、そんなのとか考える僕は、何かと自分に言い訳をしている。
あの時は、目に見えない壁があった様な気がした。勝手に作り出していたのかもしれない。だけど今は明確な格差が存在する。住む世界が違い過ぎる。どんどん君との距離が伸びてゆく。
君の呪いはいずれきっと解けるだろう。しかし僕はその時、存在しているかはわからない。自分に示しが付かない。やらなければならない事がある。君に関わる事だよと言えば、また落胆させるかもしれない。
出来れば僕だってと、正直につぶやく。事の成り行きを僕は最後まで見届けたい。僕はそう願う。だけど、そんなに上手くいく訳がない。それが現実だ。
またそうやって、今でも僕は知った気でいる。こうやってまた同じ過ちを繰り返し続けるのかもしれない。
僕はそっと弓を手に持ち、立ち上がる。そして見上げる。
太陽は女神だ。夜空は神秘に満ちている。だけどたまには気付いてあげて欲しい。木陰は涼しい風でざわついて言った。
日陰から見る青空は、美しい。
タイトルに人気ワードがないので、読む人は本当に限られるだろう。