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第81話 帝国歴史解説4

「では、恒例企画のまとめをします。夜露死苦、摩武駄致、愛死天流、愛羅武勇、走死走愛、料理後のフライパン最強」


「……今、まとめてました? 呪文か何かではなかったですか?」


「私の素晴らしい要約にケチをつけるんですか? イラリアの体内の水分を半分にしますよ?」


「やめてください」


「走死走愛が自爆攻撃により、組織としても自爆してしまいました。その結果、旧摩武駄致の残党は消滅しました。夜露死苦グループである夜露死苦並びに愛死天流、愛羅武勇が我が世の春を謳歌します。この頃は24か国が対魔王戦を繰り広げていて、夜露死苦グループも参加していた模様です。なかなかに効果的な攻撃をしていたようで各国の中で夜露死苦への評価が上がることになります」


「傭兵集団になるってことですか?」


「おそらく、2代目総長まではそのつもりだったようですが、3代目は違いました。3代目は今まで以上にお金に目がない人物でした。どのようにしたら、もっと稼げるのか。ちなみに傭兵の収入源が何か知ってますか?」


「傭兵ですよね? じゃあ、契約金じゃないですか?」


「違います。戦地での略奪です。これが主な収入となります。ここで3代目総長が驚異の発想転換をしました。稼ぎたいなら、この略奪を強化すればいいじゃね? と。その結果、敵味方関係なく、略奪するようになりました」


「え? 何考えてるんですか? 敵味方関係なく?」


「もちろん、この行為は認められず、夜露死苦グループは権力者に疎まれるようになります」


「でしょうね。言うことを聞かない略奪集団、何て邪魔でしかないでしょうし」


「その結果、各地で夜露死苦や傘下のグループは摘発され、処刑されました」


「え? でも、それだと今の帝国には関係なくなってしまいますよね?」


「もちろん全員ではありません。彼らは遊牧民の生活スタイルを取り込むことに成功してるんですよ? 定住地が無くなろうと問題ではありません。確かに、各地での粛清でその勢力は落ちましたが、大部分は東の平原へ逃げたことで難を逃れました。粛清にひと段落が着いた頃に魔王軍の攻勢も終了しました。外に向いていた攻撃のエネルギーが内に向き始めます」


「内乱ってことですか?」


「内乱とは違う気がしますが、協力していた24か国が互いに攻撃を始めます。それを好機と東に逃げていた夜露死苦グループは西に移動を開始、東の平原の隣接部分を略奪してまわり。国力が落ちたことを確認して、中央部にも進出。旧帝国領を蹂躙してまわったそうです」


「敵なしですね」


「とは言え、この略奪の日々に嫌気がさし、愛羅武勇が離脱して、旧帝国の西部地域に独自の勢力を立ち上げ、定住します。愛死天流は北方に移動して魔王領へ侵入し、その地に入植し始めました」


「じゃあ、完全なならず者は夜露死苦だけになったってことですか?」


「はい。愛羅武勇、愛死天流は帝国北部や西部に独自の力を持ちつつ、帝国の一部となっている状況です。その後、夜露死苦はさらなる離脱者を生むことを恐れ、再び東に移動します。この頃に残りの4か国の一つでクーデターが発生し、現在の帝国の前身が生まれます。ここからはイラリアに話した通りで、残りを統一して、現在の帝国となります。余談となりますが、夜露死苦は宗教戦争中の帝国各地で傭兵として雇われているので、あらゆる場所で趣味の悪い音楽を掻き鳴らす騎馬軍団が見られるそうです」


「師匠、長々と帝国の話を聞きましたけど、帝国の歴史を聞く必要あったんですか?」


「……必要と言えば、必要ですが、要らないと言えば要りません」


「あの、時間返してもらっていいですか?」


「帝国は宗教戦争の真っ最中だという話はしましたよね?」


「無視ですか?」


「今は落ち着いているのですが、もう少ししたら、激しい戦闘が始まる恐れがあります」


「どうして、そんなことが言えるんですか?」


「武器の受注が増えているからです」


「まさかとは思うんですけど、師匠? 武器を輸出とかしてませんよね?」


「何言ってるんですか? 密輸ですよ? 帝国が鎖国体制なのは常識ですよ?」


「師匠の方こそ何言ってるんですか? 密輸? 教団を犯罪組織にするつもりですか?」


「欲しい人の下に素早く商品を届ける。商人として当然のことをしたまでです」


「いつから商人になったんですか? 宗教戦争の原因は師匠とかじゃないですよね?」


「そんなわけないじゃないですか。私は各勢力の資金の動きと武器の流通量を調整して全体の流れを良い感じにしているだけです」


「長引いてるの師匠のせいですよね?」


「まあ、そんなどうでもいい事は置いておいて……」


「どうでもいい事って、諸悪の根源が何言ってるんですか?」


「流れを壊さないでください。良いですか? 私がするべきはフライパン教を帝国に布教して、帝国を対北の魔王戦に利用することです。そうなれば、北の魔王は西の魔王領と帝国の二つの戦線を同時に相手にしないといけなくなります。結果として、クソ雑魚連合への援助が止まり、西の魔王領を完全に制圧できるようになります」


「利用するはずの帝国を紛争で弱めていいんですか?」


「彼らは鎖国主義です。こうでもしないと浸透が出来ません。しかし、そろそろ、頃合いです。私、自ら乗り込みます」


「そうなんですか。いってらっしゃい」


「イラリアもですよ?」


「絶対嫌です。何で、わざわざ、そんな戦争中の国に行かないといけないんですか?」


「大丈夫です。プラシドさんの隣に座ることに比べれば、大したことありませんから」


「比較対象、間違ってませんか?」

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