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第31話 いろんな意味ですごいですね2

アラクネの再生を警戒して、私は動かなかったが、再生する気配がない。

アラクネの体から魔力が抜け出ている。

死んだようだ。


「なるほど、頭を取ればいいのか。ルカやれるか?」


大賢者は私の討伐の仕方からヒントを得て、勇者に試すように言う。


「やってみるさ」


勇者は腰を低くして、剣を構える。

次の瞬間にはアラクネの首を斬り落としていた。


「うふふふふ」


首と胴体のそれぞれが再生した。


「おい、二体に増えたぞ?」


「おかしい。ジーナ殿が頭を攻撃した時は始末できたはず……何が」


「信心なき輩と私の攻撃を一緒にするなんて不愉快です」


「信仰心の有無が関係すると?」


「その通り、私の信仰心を以て滅ばない敵など存在しないのです。ワイバーン!」


上空で我関せずという態度をとっていたワイバーンは私の呼び声に肩をびくつかせながら、慌ててアラクネに襲いかかった。

しばらくもみ合っていると、アラクネの一体を捕食し、再び空に戻った。


「私の信仰心がなせる……」


ワイバーンの腹部から赤い光が放たれる。


「これは一体?」


大賢者さんはワイバーンの腹部でうごめいている魔力が気になるようだ。


「ワイバーンから離れた方が良いと思いますよ?」


私の忠告に従いワイバーンから距離をとる。

ワイバーンは腹部が光ってることにも気づかず、優雅に飛んでいる。

そして、急速に膨れ上がり爆発した。

聖女が結界を張り、爆風からパーティーを守る。

地上にいたアラクネは爆風によって、地面を転がっている。


「おなかに埋めた守るもん君が刺激されて爆発してしまったようですね」


「師匠、ワイバーンちゃんに謝ってください」


「ちゃん?」


「レラさん、あれはメスですよ?」


「ああ、そういうことね」


爆発により、ワイバーンに捕食されたアラクネの体はバラバラになって次々と落下する。

アラクネの残骸で大きめなのは12。

それぞれが再生したため、アラクネは計17体になった。


「師匠、勝てるんですか?」


「分かりません」


イラリアの背後からアラクネが襲い掛かった。

私はフライパンで頭部を叩くと、アラクネの頭は破裂した。

アラクネは崩れ落ち、再生しなかった。


「盗賊さん、矢でアラクネの頭を射抜いてください」


「分かりました」


盗賊は隠形スキルを使い、気配を消して、アラクネの頭を射抜いた。

私の読み通り、射抜かれた頭が破裂して、首無しになったアラクネは力なく倒れた。

大賢者さんは魔法で石を生み出し、散弾のように撃つことで素早いアラクネの頭を射撃することに成功した。

剣聖と勇者は聖女が作った結界の中で私たちがアラクネを討伐するのを見ることしかできなかった。

イラリアも知らぬ間に隠形スキルを手に入れてたようで、アラクネを背後からフライパンで襲っていた。




私たちはアラクネの全滅を確認して、階層主の部屋で休憩をとっている。

階層主の部屋は周りからの奇襲という状況は発生しづらいので、階層主さえ倒せば、良い休憩所になる。


「勇者さん、引退したらいかがですか? クソ雑魚のイラリアですら戦績があるというのに、勇者さん何をしました? アラクネを分裂させ、味方を危険にさらしました。これは万死に値すると思うんですけど」


「師匠、クソ雑魚は失礼すぎると思います」


「ジーナの言う通りだ。皆、俺は勇者なのに……足を引っ張って……ごめん」


「何でさらりと名前呼びしてるんですか?」


「気にすることないわよ。ルカがこの中の誰よりもルカが頑張っていることは私が知ってるんだから」


「無視ですか?」


「そうだ。レラの言う通りだ。一度の失敗で沈む必要はない。反省して、次に生かすことを考えよう」


「無視ですね。キレていいですか?」


「あたいもそう思う。ルカはもっと頼っていいと思うよ」


「もっと俺らに頼ってくれ」


「剣聖さん、役割分担を提唱して、出番を増やそうとしてません?」


「師匠、邪魔しないでください。ルカさんの努力は知ってますから、次で取り返しましょう」


「皆、ありがとう。俺、もっと頑張るよ」


この場が勇者とその仲間たちの友情イベントと化している。


「え? 詫び無しですか?」


「師匠、空気を読んでください。それにさっき謝ってたじゃないですか?」


「あれが詫びに入るわけないじゃない。積む物積んでないんですよ?」


「師匠こそ、詫びを入れた方が良いですよ」


「じゃあ、利子増やしていいですか?」


「謝るんで許してください」




勇者一行の連帯感アップイベントが終了した後、私たちは下の階層へ降りた。

ワイバーンが爆散してしまったので、剣聖さんと盗賊さんが索敵と迎撃を行っている。


「くっ、やはり、下の階層ほど、魔物の数が増えるな」


今までは無傷だった剣聖さんも疲労もあってか攻撃を受けてしまった。

今は聖女さんが治療をしている。


「トレントは特にヤバい。発見しづらいし、近づきすぎると首が持ってかれるし」


何回か盗賊さんが危うくトレントに首を持ってかれそうになっていた。

そのたびに剣聖さんが助けていた。


「トレントの場合は首を絞めるまでの動きは速いですが、そこからの動きは遅いうえにツルの強度はそれほどではありません。剣聖さんとの連携で対処可能だと思いますよ」


「ジーナも真面目に分析するんだな」


「勇者さん、名前呼びやめてもらっていいですか? 頭を潰したくなります」


「斬新な照れ隠しですね」


「イラリア、これが照れ隠しに見えますか?」


私は嫌悪感を顔面の筋肉をフル稼働して表現している。


「なるほど。パオラとの連携を強化か」


「確かに、これからも斥侯の腕を上げるには必要ね」


「剣聖さん、盗賊さんは聖女と勇者の三角関係の一角ですから、口説き落としたら、どうなるか分かってますね?」


「師匠、まだその計画を諦めてなかったんですね」


「はい。今、計画しているのは剣聖さんと勇者さんを刺殺して、2人の遺体を並べておこうかと、剣聖が嫉妬に狂って、勇者を襲撃、勇者は不意を突かれ殺害される。剣聖さんは我に返り、自責の念からその場で自害。それっぽいでしょ?」


「今、この瞬間にその計画は頓挫しましたけどね」


「では、もっと緻密なのを持ってきます」


「諦めるって方向はないんですか?」


「念力岩をも通すって言うじゃないですか。そう言うことです」


「何かいろいろな部分で勘違いを起こしていませんか?」


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