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第16話 陣地取りゲーム

山はまだまだ続く。


「私が掴んだ事前情報によると、この階層ではグールやスケルトン、ゴブリンやオークなどがゲリラ戦を繰り広げているようです」


「どういうことですか?」


「各種族による陣地取りゲームだそうです」


「楽しそうな言い方をしてますけど、要は戦争ってことですよね?」


「簡単に言うとそんな感じです。楽しそうだったので覚えてました。ここには通りかかった冒険者の装備を目当てに襲撃するそうなので気を付けてください」


「どう気を付ければいいんですか?」


「そんなことは自分で考えてください」


集団の気配がする。

気配の感じる方向を見ると、スケルトンが弓を構えていた。


「イラリア、木の陰に隠れていてください。殲滅してきます」


私は木々の間を縫うように進む。

私の行動に気付いたスケルトンたちが矢を放つが、私のスピードに追い付けていない。

スケルトンとの距離がだいぶ縮まった。

目の前のスケルトンをフライパンで打ち払い、飛んでくる矢を弾く。

高速移動で矢を躱しながら一体ずつ、フライパンで仕留める。

多少時間がかかったが、全滅に成功した。

私は元の場所に戻る。


「イラリア、もう出てきていいですよ」


「終わりましたか?」


「はい。彼らはゲリラ戦に慣れていそうでしたね。魔物が待ち伏せするなんてトレントを除けば、あまり見ない行動です。それに集団戦闘のために弓と矢までこさえています。期待できそうですね」


「私は心配になってきました」




再び、進んでいくと、また集団の気配がする。

しかも、魔力の異常な動きまで、感じる。


「魔物に魔法使いがいるようですね」


「魔物って魔法を使うんですか?」


「ゴブリンやオークなど、集団行動する種は稀にそういう個体も出るそうですよ。これ以上進むと魔法で狙撃されます」


「大丈夫なんですか?」


「私は大体の物を弾き返せますが、流石に正面と左右に伏兵がいるとイラリアを守りながらだと厳しいですね」


「逆に、私がいなければ、問題ないんですか?」


「当たらない攻撃に何か怖さがありますか?」


「その自信、どっから湧くんですか? 半分ぐらい分けて欲しいんですけど」


「今回の場合、取れる手段は突破か逃走です。どちらの場合も、襲撃されます。どちらが好みですか?」


「え? どっちか選ばないとダメですか?」


「そろそろ、魔物がしびれを切らせて、攻撃を仕掛けてくると思います」


「じゃあ、逃げましょう」


「分かりました。さあ、走って」


反転して、イラリアを先頭にして、走り出す。

魔法が背後から飛ぶが、直撃する物のみ、撃ち返す。

ゴブリンが山の斜面から降りて、追ってきた。


「イラリア、斜面を駆け上がりますよ」


「大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫です」


私たちは山の斜面を登り、森の深いところへ向かう。

トレントの気配がないため、おそらくここは安全だ。

トレントがあれば、そこにゴブリンを誘導するけど、いないのだから仕方ない。

ゴブリンは私たちを見失っているようだ。

私はイラリアに隠れるよう指示を出して、追ってきたゴブリンを数える。

5匹、余裕だ。

私は気配を消して、ゴブリンに近づく。

ゴブリンたちは私が目と鼻の先にいるにもかかわらず気が付かない。

フライパンを振る。

周りのゴブリンが驚きの視線を殴られたゴブリンに向ける。

少し移動して、隣のゴブリンを殴る。

ゴブリンたちは不思議な現象に頭が着いていっていないようだ。

私は考える時間を与えないように次々と殴り、全滅させた。

最後の一体は逃げるそぶりを見せたので、少々強めに殴ってしまった。

ゴブリンの全滅が確認できたので、イラリアが木の陰から出てきた。


「師匠のメンタルどうなってるんですか?」


「気配を隠すのに一番重要なのは隠れることではありません。ありのままでいることですよ」


「途中、変顔をしようとしてませんでしたか」


「はい。最も屈辱的な殺し方を何だろうと考えた結果、変顔を思いついたのですが、彼らから私が見えないことを思い出しまして、やめました。しかし、ここは素晴らしい場所ですね。でも、私としては少し物足りなさがあります」


「どういうことですか?」


「私たちを包囲していたゴブリンは軽く30匹はいました。おそらくあれは私たちを狙ったのではなく、他の勢力があの道を通ることを掴んでいたのだと思います。とすれば、かなり大規模な戦闘をしているのだと私は考えます。そんな楽しそうなことに私がハブられているというのがムカつきます」


「もう、帰っていいですか?」


「一人で帰れますか?」


「嘘です。どこまでもついていきます」


「しかし、参加するには情報が必要ですね」




そこから、一週間、私の新たな肩書が増えた。

それは魔物ウォッチャーだ。

これほど、魔物を監視し続ける人間もなかなかいないだろう。


「どうですか? 何か分かったんですか、師匠?」


「全体像は何となく掴めました。この階層ではグール、スケルトン、オーク、そして、その他の小規模な集団が戦闘してます。ドラゴンのような規格外もいるようですが、これは自由気ままに何かをしてるそうです。話を戻しますが、ここ最近その勢力図が一変することがあったようです」


「一変?」


「はい。スケルトン、グールによるアンデッド連合だそうです」


「それは四勢力のうち二つが同盟を組んで、残り二つを圧倒するってことですか?」


「その通りです。目論見通り、アンデッド連合はオークとその他勢力を圧倒しているようです。実はアンデッドの連合には暗躍した存在がいるようで、ヴァンパイアがいるとか」


「その情報をどうやって入手したんですか?」


「偉そうにしていたグールの頭を解体して、中身を覗きました」


「いや、何してるんですか? というよりそんなことが可能なんですか?」


「できたということは可能ってことですよ。これらの情報から私たちが検討すべきなのは私たちが参加するには手勢が必要ってことです」


「情報のわりに分かったことがショボくないですか? そんなことは戦争をしてる時点で分かってたと思います」


「え? 私の情報収集は無駄だったということデスカ?」


「いや、これから必要になるんですよ」


「ですよね? いや、良かった。で、ここには信者がいませんし、どこから調達しようかと」


「冒険者を集めますか?」


「ダメです。依頼料が発生します」


「そんな理由ですか? でも、他に選べる手何て……」


「そうだ! どこかの勢力に参加しましょう」


「どこに参加するんですか? アンデッドなら、最大勢力ですし良いと思うんですけど」


「スケルトンは叩くとすぐ崩れるのでダメです」


「叩き心地で味方を選ぶんですか?」


「良いこと思いつきました。小勢力からスタートすれば、多くの戦闘ができます。では小勢力のどれかに狙いを付けましょう」


「理由が残念すぎです。真面目に考えた労力を返してください」


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