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短編大作選

生首生爪生眼

甥っ子と、久し振りに会えて嬉しい。


「ユウちゃん。大好き」


そう言って、私に抱き付いてきてくれた。


小さくて、柔らかくて、あたたかい。


前に会ったときよりも、ひとまわりくらい、大きくなっているように思えた。



冷蔵庫を開けて、キンキンに冷えたオレンジジュースを、コップに注ぐ。


子供の成長は、早いものだ。


すぐ、新しいものを取り入れたりする。


前とはガラリと変わり、別人になることもある。


オレンジジュースが入ったコップを、甥っ子が待つテーブルへと運ぶ。



「バチュガチュバクハチュ」


「バスガス爆発ね」


「お待たせ」


「やったー。オレンジジュースだ」


「お菓子もあるよ」


「わーい」


「早口言葉、やってたの?」


「そうなの。この子、今、早口言葉にハマってるの」


バスガス爆発は、少々過激だな、と思いながら、その場を立ち去った。



甥っ子が、好きそうなおもちゃを買ったことを思い出し、探しに別の部屋に来た。


すぐに見つけて、再び、甥っ子のいる部屋に戻ってきた。



まだ、早口言葉をやっているみたいだ。


「ニャマクビニャマヅメニャママナコ」


「そう。生首生爪生眼」


「ニャマクビニャマヅメニャママナコ」


一瞬、背筋が思い切り、ビクッとなった。


なまくび、なまづめ、なままなこ、ってなんだ?


確かに、言いづらさはあるけど。


私は、生麦生米生卵しか知らないから。


それしか、知らないから。



長い間、そこから動けないでいた。

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