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(作品削り中)  作者: みかづき椛
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三十三

 凪・潮・ライノ・バケダラ・ムベンガの五人は颯が埋まっていると思われる場所に来た。


「颯……!! 今必ず助けます……!!」


 ムベンガは両手に装着するように氷の魔法で鉤爪を作り、爪先から連続で颯に覆っていると思われる橙色の土に氷の光線を当てまくり始めた。


「あの橙色の土……颯でしか壊せなかったから難しいかも……!」


「そんなことどうでもいいのです……!! とにかく颯を救出しなければ……!!」


「そうだな! とにかく攻撃しまくるぞ!」



 十分後、橙色の土を少しずつ掘っている五人は気を失った様に倒れているいる颯を発見した。


「颯ぇぇっっ!!」


 ムベンガは悲痛な叫びを上げ、颯の元に駆け寄った。


「颯……まさか負けたのか……!?」


「地面に激突した衝撃でかなりのダメージを言っている……病院に連れて行かないと……!」


「誰っすか」


 颯が倒れている周りの土が消え、空いた空間からツチフキがゆっくりと歩いて現れた。


「お前は! よくも騙したな!」


「どうも、ツチフキっす」


「よ……よくも……颯をぉ!!」


「……なんすか」


 ムベンガは装着している氷の鉤爪から十本の氷の光線をツチフキに向かって放ったが、ツチフキの両手で受け止めた。


「効かないっすね……魔力宿したての光線族ってとこすか」


「許さないっっ!!」


「とにかく……我達もムベンガに加勢するぞ!」


 潮の言葉に反応する様に頷いたバケダラは刀を握った状態でツチフキの背後に回って刀を振るった。しかし一瞬で振り返ったツチフキの掌でその刀が折れた。


「ただの掌で刀を折った……!」


 ツチフキは右手の掌でバケダラを突っ張ろうとしたが、バケダラに回避されて少し距離を取られた。


「まだ何か刃物の臭いがするっすね……」


「……なんでそう言い切れるの?」


「臭いっす。うすは鼻には自身あるすなのすで」


「うるさいっっ!! よくも颯をぉ……!!」


「とにかく何としてもこいつを倒すぞ!」


「す、君等を倒すのには手こずらなさそうっすね」



 一方その頃、海は女性の姿をしたロボット一体を石の魔法で作った剣で倒した。海の周りには四十のロボットが倒されていた。


「中々やるほよな……あとロボットが十体ほよか……」


 一体のロボットは海の石の剣による攻撃を受けて倒した。その倒れたロボットが爆発した。


「おぉ〜……爆破したほよか……」


「な……に……!?」


 海は爆発したロボットの中から男の体の者が出て来た瞬間を見た。


「動揺したほよねぇ〜」


 ハマチは右手の掌から土の魔法で出来た巨木程の太さの光線を海に直撃させた。土の光線を当てられた海は五十メートル程吹っ飛んだ。


「ほよっ! ほよっ! ほよっ! まさか中に人がいるとは思わなかったほよな〜!」



 土の光線を当てられて吹っ飛んだ海は地面に仰向けに倒れた。その時、その近くに倒れていた爽が起き上がった。


「ううっ……俺は……確か……不自然魔法を……」


 落ち込み気味になっている爽は付近に倒れている海が視界に入って立ち上がった。


「あれは……海!? まさかサギフエちゃんを襲った犯人にやられたのか……それか俺等を閉じ込めた奴がいるのか……!?」


 爽は倒れている海の目の前まで走った。


「おい! 誰にやられた!」


 爽の呼びかけに対して海はリアクションしなかった。


「ほよほよ……追ってみたら別のお仲間がいたほよね〜」


 爽に歩きながらハマチと十体の女性の姿をしたロボットが近付いてきた。


「……ほよだと? 変な奴だな」


「お前もサギフエ嬢の知り合いほよか」


「お前はまさか……サギフエちゃんのお父様を斬った奴の仲間か!」


「まっ! そうほよ〜」


「だったらお前を倒す!」


 爽はそう宣言して右手の人差し指をハマチに突き出した。


「ほよっ! ほよっ! ほよっ! 強気な若造ほよな! まずは残ったロボットの相手をお願いするほよ!」


「ロ……ロボットだと……!?」


 爽に向かって十体の女性の姿をした者が襲いかかった。


「おいほよ野郎! 自分で戦えよ!」


「お前こそさっさとロボットを倒せほよ」


「……どいてくれねぇか」


 爽はロボットのパンチをよけながらハマチに向かって右拳を振るった。


(戦闘用ロボットの攻撃をスルリと……やるほよね)


 ハマチは右手の掌から土の魔法で出来た巨木程の太さの光線が爽に直撃させた。土の光線を当てられた爽は五十メートル程吹っ飛んだ。


「所詮、お前もただのやんちゃな若造ほよな」


 ハマチがそう言ってから数十秒後、ハマチの視界に右拳に魔力チャージしている爽が自身に向けてダッシュで駆け抜けている様子が写った。


「……流石に一撃ではやられんほよな」


 爽は魔力チャージを解放して右拳から一直線に毒の液体を噴射させた。そしてハマチは左手の掌から巨木程の太さの土の光線を放ち、爽の毒の噴射とハマチの土の光線がぶつかり合った。


「うっ……」


 爽が噴射している毒は土の光線に押され始めた。


「くそ……! 俺の不自然魔法も発動させてるのに……!」


 噴射された毒を押しながら土の光線は爽にぶつかった。


「ぐっっ……!!」


 爽を押し始めた土の光線のスピードが徐々に速まり、土の光線は爽をハマチの視界から消え去るまで吹っ飛ばした。


「また来たら吹っ飛ばせばいいほよな」



 一方その頃、ブラックバスは建物内の廊下を歩いていた。


「またお前か……オイカワ」


 そう言ったブラックバスは足を止めた。ブラックバスから二メートル先の前に右手で刀を握るオイカワが立っていた。


「また俺の邪魔をする気か?」


「邪魔しに来たわけではありません……」


「邪魔する気が無いのに立ちはだかるか……つまりはそう言うことか」


「ピラニア様は……二ヶ月前に亡くなられました」


「……それであのオモチャか。何故あんな物を?」


「サギフエ様に友達が出来るまで……騙そうと思ってました」


「そうか……表にいた若造共がそれか」


「だからもう……戦いを止めてくれませんか」


「……そうだな。止めてやるよ」


 ブラックバスはオイカワに背を向けて歩き始めた。その瞬間にオイカワはブラックバスに向けて手裏剣を投げた。その手裏剣をブラックバスは右によけた。


「……まだやる気か」


「やはりあなただけは……ここで止めます!」


 ブラックバスは無言で振り返り、剣を右手で抜いた。



 一方その頃、ツチフキは凪・潮・ライノ・バケダラ・ムベンガの五人と戦っていた。ツチフキは迫ってくる五人を掌だけで何度も吹き飛ばしている。


「ふ〜……やっと大人しくなったすか……」


 ツチフキの周りには五人がうつ伏せに倒れていた。


「……なんか変すね」


 ツチフキは倒れている五人を見ていると、その五人は姿を消した。


「す? 分身の術でもしてたすか? いなくなったっす……」



 潮・ライノ・バケダラの三人はサンゴ町の魔法警察の署の建物の中を走っていた。


「颯は大丈夫かな……」


「心配をするなライノ! ムベンガの幻覚がバレても凪の催眠術があるからな!」


「それより私達も気を付けた方が良いよ……! ピラニアさんを斬った人も来てる可能性があるから……!」


 バケダラがそう言って数秒後に三人は足を止めた。潮・ライノ・バケダラの十メートル程離れた廊下でオイカワとブラックバスが高速で激しい武器のぶつかり合いが勃発していたからであった。


「な……なんだ……」


「動きが速い……?」


(オイカワさんは超優秀な忍者って聞いたのに……あの闇に包まれている剣士は……まさかブラックバス……!?)


 ブラックバスは闇で覆っている左腕の部分を前に突き出した。ブラックバスの左手には剣が握られていた。


「うっ……!!」


 オイカワは腹の部分を斬られて倒れた。その時、オイカワは出血しなかった。


「元々お前は今日負傷したばかりだろ。この俺に」


「くっ……なんとしても……止めねば……」


 オイカワは這いつくばりながら右手でブラックバスの左足を掴もうと手を伸ばしたが、ブラックバスは下を見ずに左足でオイカワの右手を蹴った。そしてブラックバスは潮・ライノ・バケダラの三人がいる方向に向かって歩き始めた。


「お……おい……! こっちに来るぞ……!」


「に……逃げよう……」


「何故だバケダラ……! あいつは町長の命を狙った犯人だぞ……!」


「ごめん……ここは一旦引いてあの人よりもサギフエを見つけなきゃ……」


「そうか……まずはサギフエの安全を確認しなければな……!」


 潮はそう言って来た道を戻ろうと振り返った。バケダラも同様に振り返ると、ライノは鼻にツノを生やしてブラックバスに向かって突進し始めた。


「馬鹿かライノ!! 戻れ!!」


 ブラックバスはライノのツノによる攻撃をかわし、剣を振るってライノの背中を叩き付けた。その時、ライノは出血しなかった。


「いたっ……!!」


 ライノはうつ伏せに倒れた。潮は地面から大きな土の拳を出してブラックバスに殴りかかったが、ブラックバスは左手で剣を構えて土の拳を受け止めた。受け止められた土の拳は裂かれ始めた。


「潮危ない!!」


 バケダラがそう叫んだ時、ブラックバスは左手に持つ剣を手放して右手で剣を抜いて両手で握り、潮を剣で攻撃した。その時潮は出血しなかった。


(……手応えが変だ)


 潮は出現させた土の拳の中にブラックバスが手放した剣を入れて、その土の拳をブラックバスから五メートル程遠ざけた。


「中々足掻くな」


 刀を抜いたバケダラの太刀をブラックバスは右手の剣で受け止めた。


「あなたは何者なんですか……!」


「ふっ……どうせ分かっているのだろう……」


 ブラックバスの背後から鼻にツノをつけているライノがブラックバスに向かって突進し始めた。


「頑張るなぁ若造共……全て無駄だが」


 ブラックバスは左手でライノのツノを掴み、ライノの足を止めた。ブラックバスが両手を塞がっているその時、ブラックバスの前から土の魔法で出来たサイが出現した。


(前からまた土の魔法……)


 ライノの不自然魔法で出来たツノを付けた土の魔法のサイはブラックバスに向かって突進した。するとブラックバスは左手に握るツノを振るってライノを土のサイにぶつけながらツノによる攻撃を回避した。


(潮とライノが……! このままじゃヤバい……!)


 ブラックバスはバケダラに剣撃を当てた。バケダラは仰向けに倒れた。


(やっぱりこの人はブラックバスだ……!!)


「これで終わりだな……」


 ブラックバスは左手に掴んでいた剣が飛ばされた方向に向かって歩き始めた。


「まだだ……!!」


 潮はゆっくりと立ち上がった。ライノも同様に立ち上がり、ブラックバスの前に立ちはだかった。


「二人の土属性の戦士か……」


「お前! とにかく何者だ! 名乗れ!」


「断る。お前らが名乗れ」


「我は潮だ!」


「僕はライノ」


「……両者共変わった名前だな。それは本当の名前か」


「もちろんだ!」


「そうだよ」


「無謀な若造共……来るが良い」


 ブラックバスの声掛けに応じる為に鼻にツノを付けたライノがブラックバスに向かって突進し始めた。


「うるさいわね〜……誰よ」


 ブラックバスがいる真横にある扉が開いた。その扉を開けたのはサギフエだった。ブラックバスとライノの足が止まった。


「サギフエ!」


「そこにいたのかサギフエ! 逃げろ!」


「え? あんた誰?」


 サギフエはブラックバスの頭付近を見ながら質問した。


「サギフエ! そいつが父を斬った犯人だ!」


「あ……あなたが……!?」


 サギフエは二歩後ずさりをして、片手片手で握るように氷の小太刀を二本作った。


「……潮! ライノ! チームサギフエの力を見せてやるわよ!」


「ふっ……小娘一人追加した所で何も変わりはしない……」


「誰が小娘よ! 斬ってやるわ!!」


 サギフエはそう宣言した瞬間、ブラックバスはサギフエに迫った。


「危ないサギフエ!!」


 潮とライノはサギフエの前に立った。ブラックバスは剣を両手で握って大き一回振るった。その剣撃を喰らった潮とライノはサギフエを巻き込みながら部屋壁にぶつかるまで一メートル程吹っ飛ばされた。


「……若者は大人しく青春していれば良いんだ」


 ブラックバスは左手で握っていた剣が飛ばされた方向に歩き始めた。


「うっ……待ちな……さい……」


 潮とライノにのしかかられているサギフエは小さな声でそう言った。



 外は朝日が昇り始めた頃、サギフエは病院のベッドで目を覚ました。


「う……朝……」


 サギフエは窓がある右を見て明るくなっていたことを確認した。


「はぁ……お父様の仇……取れなかったわ……戦うことも出来なかった……」


「サギフエ……! 目を覚ましたのか」


 サギフエは左を見ると、表情が暗い潮とライノがいた。


「あなた達……」


「すまないサギフエ……! 逃がした……!」


「ごめんサギフエ……」


「まぁ良いわ……みんなは無事なの?」


「あぁ……無事なのは無事だが……みんな心を痛めている……」


「……なんでなの?」


「それは……みんな負けたからだ……」

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