48話 パーティ結成
「アルくん、お疲れ様」
「おつかれ」
決闘が終わりを告げたことで観客席にいたフィデリアとレイチェルが駆け寄ってくる。
二人は労りの声をアルにかけ、嬉しそうに微笑んだ。
「二人ともありがとう」
つられてアルも笑った。
「おう。お疲れさん。お前、結構怒ってたからこの闘技場を半壊させるくらいはやるかと思ってヒヤヒヤしたぜ」
カイはアルの肩に手をかけ心底安堵していた。
フィデリア達をモノ扱いされた時のアルは、それはもうたいそう分かりやすく怒っていた。
その怒りのままに暴れられていたら、この闘技場はおろか下手したらギルドが全壊などという可能性も否めなかったためにカイは修繕費の計算をしていたが、杞憂で済んでほっとしている。
「まさか。そんなことしませんよ。僕の事を何だと思ってるんですか?」
「あー、あれだ。とりあえず怒らせたら恐いって事は確かだな」
フィデリア、レイチェル、ディアナ、さらにカトレアまでもカイの言葉に首を縦に振った。
(確かにそうですね。ご主人が怒り狂ったら……とんでもないことになりますね)
「えー」
アルは意見が満場一致であることに不満を漏らした。
しかし、やるべきことはまだあるので気を取り直して本題に移る。
「カトレアさん、今のうちに手続きをしちゃいましょう」
「そうですね。では私は必要事項を記入していただく書類を取ってから戻りますので、皆さんは受付カウンターでお待ちください」
カトレアは即座に仕事モードへと切り替え、すたすたと闘技場を後にした。
アル達も戻ろうとするが、ある一点に目が留まった。
「あれ……どうしますの?」
みんなの気持ちを代弁しただろうフィデリアの一言。
その視線の先には、先程の決闘でアルにいいようにされて屈辱的に敗れたマルコが転がっていた。
「放っておいていいんじゃない?」
レイチェルは興味なさげに冷たく言い放った。
ギルド職員としてはいけないことだが、ディアナも激しく頷いている。
「ちっ、しょうがねえな」
仕方ないと名乗りをあげたカイが、マルコを雑に引きずって出ていった。
アル達も闘技場を後にして、パーティ結成の手続きをするために受付カウンターへと向かった。
◇
「ではこちらに皆様の名前と必要事項を記入してください」
手続きに必要な用紙を持って戻ってきたカトレアの指示に従って、アル達は記入を進めていく。
そしてパーティに関する仕組みを簡単に説明を受けて、手続きはつつがなく完了した。
「はい、確かに受理されました。これで本日よりパーティ単位での依頼受注が可能となります。さっそく依頼を受注いたしますか?」
「いえ、今日は大丈夫です。二人は長旅で疲れていると思うので、まずはゆっくり休もうと思います」
フィデリアとレイチェルはナビルスに来たばかりだ。
来て早々トラブルに巻き込んでしまったが、本来ギルドには特に用もなく、少々立ち寄るだけのはずだった。
まさか決闘するはめになるとは誰も予想していなかった。
それに被害を受けそうになった彼女達の心労も考慮して無茶な活動はしない。
依頼を受けるにしてももう少し準備をしてからになるだろう。
「そうですか。では、またのお越しをお待ちしております」
「フィデリアさん、レイチェルさん。待ってますね!」
カトレアは綺麗にお辞儀を、フィデリア達と仲良くなったディアナは手を振っていた。
ひとまず、パーティ結成が済んだのでギルドをあとにして宿へと向かった。




