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43話 計画

 回復系統の魔術は自他用共に完璧になった。

 では次は攻撃系統だ。


 アル達が潜る予定の迷宮はアンデッド系の魔物が多く潜んでいるため、ユニークメイカーで作る水の魔術に光、神聖の属性を加えることにした。


 モチーフとなったのは以前に作り出していた水の檻、ブルージェイルだ。

 しかし、アンデッド系の魔物は既に死んでいる。

 故に呼吸もしていないため、息の根を止める戦法が通用しない。


 その不死性に突き刺さるのが光や神聖の力だ。

 その真髄は回復のみならず、迷える魂や肉体を現世に縛る鎖を解き放つ浄化の力。

 その力を組み合わせれば、アンデッド系の魔物にはめっぽう強く立ち回れる。


「普通に生きてる魔物で倒しても効果は分からないよな」


(ですねー。それではいつも通りです)


 しかし、その魔術には試すことが出来ないという悩みがあった。

 それもそのはず。

 アンデッド特効の魔術をアンデッドではない魔物に使っても意味は無い。

 ただただ水で息の根を止めるだけになってしまう。


「一応ギルドの依頼も見てから出てきたけど、特にアンデッド系の依頼はなかったしね」


(ほいほいアンデッドが湧くはずもありませんしね)


「とりあえず他にもいくつか備えはあるし、ぶっつけ本番でやるしかないな」


(ですです)


 アルが新たに作り出した魔術、水の天獄(ブルー・ヘブン)のお披露目はまだ先になりそうだった。


 ◇


 ◇


 ◇


 アルはフィデリアとレイチェルとお茶をしながら、予定を立てていた。

 目指すは迷宮の完全攻略。

 そうなるとしばらく王都を出て生活することになる。


 王都を出るのはカイとディアナがナビルスへ帰るのに同行する予定だ。

 あとはナビルスにどれくらい居座るのかという話だが、その点についてフィデリアとレイチェルが何故か揉めていた。


「二週間ほどあれば十分ですわ。私達だけならいざ知らず、アルくんもいるのですから」


「いや、余裕を持って二ヶ月くらい滞在すべき。観光気分で色々楽しみたい」


 このように期間を巡って壮絶な争いが繰り広げられていた。


「こうなったらアルくんに決めて頂きましょう」


「文句なし」


 そして最終的にはアルに決めてもらおうという結論に至った。


(ええー、困ったなぁ)


 そんな二人の圧に当てられ参っていた。

 正直言ってしまえばどちらでもいいというのがアルの思いだが、こうも意見を求められてはそうも言ってられない。


 それに、アルは元々ナビルスで活動していて最近王都に来たばかりだ。

 観光と言うより里帰りのような心情である。


「うーん。僕はどっちでもいいけど、せっかくだし、もっと長く滞在してみない? ナビルスは迷宮都市と言われるだけあって他にも迷宮は沢山ある。王都では受けられない依頼とかもあると思うし、どうかな?」


 アルが選んだのはどちらかの意見に賛同することではなく、第三の意見を作り出すことだ。


 これならどちらかの意見を否定することにはならない。


「……まあ、アルくんがそういうのなら仕方ないですわね」


「さすがアル。分かってる」


 レイチェルは言わずもがな、フィデリアも渋々といった様子で同意してくれるようだった。


「それでしたら半年くらい空けることになるのでしょうか?」


「私はそれでも全然構わない」


 切り替えの早い二人はもう既に長期滞在をする前提で話を進めていた。

 アルはホッと一息付き、自分もその話の輪に混ざるのだった。




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