表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/69

21話 結末

 シャドウウルフを倒したアルは村長宅に行きダリルを呼ぶ。


「討伐完了しましたので確認とサインをお願いします」


 依頼達成のサインを書かせるためにダリルを連れてレッサーウルフとシャドウウルフの死体を見せる。


「確かに確認しました」


 ダリルはシャドウウルフを見ても何も思わないのかそのままサインする。

 村の危険がなくなったことでダリルもどこか嬉しそうだ。


「これでよろしいでしょうか」


「はい、大丈夫です」


「では、次がありましたらまたよろしくお願いします」


 アルはその言葉に顔を顰める。

 ダリルは無関係なのは確かだが、村を預かる身としては少々頂けないところがあるので、アルは痛い目にあってもらうことにした。


「次? もうギルドはこの村の依頼は受けないと思いますよ」


 軽蔑の眼差しでダリルを見るアル。

 ダリルも突然のことに困惑しつつもどういうことかアルに尋ねる。


「この村の依頼はEランクの依頼でレッサーウルフの討伐でした。では、村長さんにお聞きしますがこの大きい狼、何だと思います?」


 そう言いアルはシャドウウルフの死体を指差す。

 その質問にダリルは答えることが出来ない。


「これシャドウウルフっていう魔物でAランクの魔物なんですよ」


「えっ、Aランクですと?」


「ええ、ですがこの村が出した依頼はEランクのレッサーウルフ討伐。もう分かりますよね?」


 アルの言わんとしていることが分かったダリルの顔はどんどん青ざめていく。


「し、し、知らなかったんです。そんな魔物がいるなんて知らなかった」


「確かにあなたは知らなかったかもしれない。でも知ってて黙ってた人間がこの村にいるんですよ。この依頼をナビルスまで出しに来た人に聞いてみてはいかがですか?」


「まっ、まさか、ザルバ! ザルバはいるかー」


 ダリルが大声で誰か呼ぶ。

 その声を聞きつけやってきたのはーー


(ビンゴ)


 村で見張りをやっていた態度の悪い男だった。


「なんだ、親父、騒ぐなよ」


「お前、レッサーウルフの中に違う個体がいるのを知ってて黙ってたのか?」


「ん? ああ、狼には違いないから大丈夫だったろ」


「お前と言う奴は……あれはAランクの魔物だったんだぞ」


 Aランクというのを聞き多少の驚きを見せたザルバだが直ぐに開き直った。


「あー、倒せたんだからいいじゃねえか。それにちゃんと依頼出したら依頼料高くなっちまうだろー」



 アルは怒りでどうにかなりそうだった。

 こんなふざけた男が依頼料を出し渋ったせいでギルドから死者が出たかもしれないと思うと腸が煮えくり返りそうだった。


「もし、Eランクの依頼だと思って来た方が死んだらどう責任を取るつもりだったんですか?」


「はっ、知るかよ。弱い奴が悪いんだろーが」


 アルは怒りを通り越して呆れた。呆れて言葉も出なかった。

 心底この男とは分かり合えないと思った。


「分かりました。このことはギルドに報告しておきます。当ギルドはこの村からの依頼は二度とお受けしないと思いますので何かありましたらご自分で対処してくださいね」


 ダリルやザルバだけでなくいつの間にか集まっていた野次馬の人に向けても言い放つ。

状況を理解出来ていない者が説明を求めているがアルはそれを無視する。


無限収納(インベントリ)


 アルはリーダー個体がいる前提で動いていたためそれを回収するために新しい魔術を作っていた。

 それにレッサーウルフとシャドウウルフの死体を回収すると、アルを引き留めようとしてくる村人達を引き剥がす。


「待ってください。どうかこの通り」


 ダリルはアルの前で必死に頭を下げる。

 しかし、それはアルの心には響かない。


「あなたもです。息子の言うことを鵜呑みにして村を危険に晒した。もし、来たのが普通のEランク冒険者で討伐に時間がかかったら、この村は全滅してたかもしれないんですよ」


 ダリルはアルの言葉に思うところがあるのか苦い表情だ。

 実際、Eランクの依頼はFランクから受けられるため、実力不足の者がやってくる可能性は高かったのだ。

もし、そうなっていたらアルの言葉通りの結末も十分に有り得ただろう。


「どうするかは村の皆さんでお考えください。では依頼は達成したので帰りますね」


 そう言うとアルの姿は誰にも認識できなくなる。

 そして事態を把握した村人達の怒りがザルバに向くのも時間の問題だった。


 ◇


 ◇


 ◇


 ギルドに戻ってきたアルはカイに報告をする。


「村長の息子が依頼金を渋るために嘘ついたようで、シャドウウルフがいました」


 それを聞いて頭を抱えるカイ。

 心底アルに頼んで良かったと思っているところだ。


「タール村の依頼は二度と受けないだろうと言っておいたので、誠心誠意謝罪をしたら許してあげてください」


 それを聞いて再び頭を抱える。

 だがアルらしいと納得してしまう。


「叱るところはちゃんと叱らないとまた同じことをするかもしれないのでーー」


 あとはお願いしますね、と言い残すアルを見送ったカイ。

 そんな彼のもとにタール村からの謝罪がやってきたのは2日後のことだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ