第一話
何も無い白い空間。
床も壁も天井もない場所に俺は立っていた。
呆然と立ち尽くしている俺の前には天使が立っていた。
……いや、頭がおかしくなった訳では無いよ?まあ、俺自身ラノベの読みすぎで頭おかしくなってると疑っているんだけどな。
ていうか、ここはどこだよ。
「あのー、気が付きましたか?気がついたなら体を動かしてください。多分、声は出ないようになってるので。」
天使さんが優しい声で話しかけてきてくれた。少しおどおどしていて、気が弱そう。
これ、何も反応しなかったらどうなるのかな?
「あれ、返事がない……。どうしよう、失敗しちゃったかな。怒られちゃうから、早く起きて~。」
声がだんだん小さくなっていって、すごい慌ててる。可愛い。
そのまま無視していたら、涙目になってきたので、体を動かしてみた。
「あ、気がついたんですね。良かったぁ……。では、声が出るようにしますね。"アンロック" 」
天使がアンロックと呟くと、ガラスが割れるような音が響いた。
「これで声が出るようになったはずです。では喋って見てください。」
「はい、喋れるよ。」
「はい。では、自己紹介を。私の名前はミルです。ここは、貴方達の世界で言う、あの世です。今から貴方は転生します。」
テンプレ来ましたー。目が覚めたら目の前に天使がいて、周りにはなにもない真っ白な場所にいた。
予想はしていたけど、自分が体験するとは思わんかったな。
「普通は私たちが出てくることもなく、記憶を消してすぐに転生させるんですが、今回は死んでしまった理由が理由なので、特別に記憶を持つことが出来て、転生する世界を選ぶことが出来ます。あ、ご要望がお聞きしますよ。」
死んだ理由がすげぇ気になる。
「聞きたいですか?」
「うわっ!心を読むな!」
「本当に聞きたいですか?」
ツッコミを完全に無視されて泣きそう……
「聞きたいです。」
「わかりました。そこまで聞きたいのなら教えましょう。貴方が死んだ理由は………えっと、少し待ってください。」
そう言って、いつの間にか持っていた分厚い辞書のような物を開き始めた。
いや、今確認するのかよ!?前もって確認しとけよ!
「えーっと、死因はですね、神様のミスですね。」
「完全にテンプレです本当にありがとうございました。」
はぁ。やっぱりテンプレでしたよ。どうしようもないほどにテンプレでしたね。
「こちらの事情で詳しくは説明出来なくてごめんなさい。」
「それは大丈夫です、気にしてないので。あと、聞きたいことがあるので質問していいですか?」
「あ、はい。どうぞ。」
それから、俺は以下のような事を聞いた。
なんで俺はこんなに冷静でいられるの?
地球に転生することは可能か?
転生する時になにか能力的な物を貰えるの?
文明レベルが低い世界に転生したら、前世の知識を広めてもいいのか?
地球の物をなにか持っていくことができるのか?
何歳ぐらいで転生するの?
自分の事に関する記憶が無いんだけど、転生したら戻ってくるの?
冷静でいられるのは、そういう魔法を掛けているらしい。
地球には転生できるが、俺が死んだ時から百年以上経っているらしい。
チートは貰えないが、アイテムボックスと、魔法に対する高い適正を貰える。
前世の知識を広めるのはやめて欲しいと言われた。
一つだけなら持っていっていい。だが、電化製品などはダメだって。
生まれてから一ヶ月経った赤ん坊に転生するらしい。尚、その赤ん坊の魂は、天使さんが作ったものなので、他人の魂が無くなることにはならないらしい。
記憶が全部あると色々と困るらしくて、記憶を持てるといってもある程度らしい。
「要望を聞くって言ったのに、結構制限がかかるんだな。」
「それに関しては非常に申し訳ないです。こちらのミスで死んでしまったのに。」
「大丈夫だって。早速だけど、転生する世界とかを選んでいいかな?」
「わかりました。転生部屋に転移させますね。色々と選び終わるまでは私はここで待っているので、終わったら呼んでくださいね。では、ごゆっくり~。」
転移させられた俺の目の前にあったのは、パソコンだった。
なんでだよ!
何か神様的な凄い人が待ち構えてて、選ばせてくれると思っていたのに、実際はパソコンが置いてあり、ドラ○エのようなキャラメイクの画面が映っていた。
神様は地球が好きなのかな?
そのことは置いておいて、早速選びますか。
えーっと、初めに選ぶのは転生する世界かな?これは勿論魔法のある世界ですね!
ステータスなどはありにするか?ありで。
次は、名前か。名字は無しらしい。じゃあ、ネトゲで使ってた名前で、ユウにしよう。
名前の次は見た目だ。これは、黒髪黒目ということだけ決めて、ランダムにしておこう。
持っていくものは…………どうしよう。迷うからランダムでお願いします。
よし、キャラメイクはこれで終わりだ。
ちなみに、生まれはランダムで固定だった。畜生。
よし、ミルを呼ぶか。パソコンの画面の端に、呼び出しボタンがあるので、押してみよう。ポチッとな、
「はいは~い。早いですね~。今までの人達はもっと長かったんですけどね~。」
「今までにもミスをしているのか。神様しっかりしてくださいよ……」
神様、それでいいのか。
「では、転生する世界を説明しますね。世界の名前は、エルドアです。文明は、地球でいう中世ヨーロッパです。この世界には四つの大陸があり、比較的穏やかな気候で、人族や亜人族が暮らしている大陸が北大陸と呼ばれています。そして、かつては人族が住んでいたが、魔王───この世界では、魔族ではなく、魔物の王───の出現により、強力な魔物が生息して人間が住めなくなった大陸が東大陸です。魔大陸と呼ばれていますね。竜だけが生息している大陸が、西大陸で、最後の南大陸は、魔族が住んでいます。魔族とは、人族とあまり変わりません。魔族は個々の能力が非常に強力で、数は少ないです。海は、東大陸以上に強力な魔物が生息しているので、海に行くのはオススメしません。なにか質問はありますか?ないなら、このまま転生させます。ちなみに、貴方は人族に生まれます。」
よし、大体わかった。他の大陸にはあまり行かない方が良さそうだな。
「ないですね。では、転生させますね。さようなら~。えい。」
そして、ミルがなにかのボタンを押した瞬間、俺の意識は途絶えた。
俺が目を覚ました場所は、森の中だった。
よし、無事に転生したらようだな…………あれ?
たしか、ミルは赤ん坊でスタートするって言ってなかったっけ?
それなのに森の中にいるってことは、まさかの捨て子スタート?
アイエエエエ!ステゴ!ステゴナンデ!
体を動かそうとしても全く動かないし、何かに包まれているような気がする。
深呼吸だ。落ち着けー。落ち着けー。
とりあえず、自分のステータスを確認してみよう。ステータスオープン。
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ユウ 1歳 男 Lv1
職業 なし
体力 7
筋力 5
魔力 5
敏捷 6
火属性 87
水属性 79
土属性 91
風属性 82
光属性 179
闇属性 181
スキル
魔力操作Lv4
称号
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やっぱり、能力値は赤ん坊だから低いよな。どれぐらいが平均かしらんけども。
あと、属性値がめちゃくちゃ高い。しかも、光と闇が他の属性値の約二倍あるぞ!
いやあ、ワクワクしますね。俺TUEEEEEEをするのが夢だったが、本当に叶うとは思いもしなかったよ。
さて、どうするか。
今の俺は赤ん坊で、魔物のいる世界の森の中に一人でいる。
詰んでませんかな?これ。
そう思っていたら、近くの茂みがガサガサ揺れた。
待って待って待って待って!いやいやいや、転生してすぐに死ぬのはあんまりだよ!酷くない!?流石にこれは怒るよ!
あ、これ近い。音がかなり大きくなってきた。
早いなあ。これで俺の二回目の人生は終わりかぁ。
そして、茂みの中から出てきたのは…………
「ん?なんでこんな場所に子供が捨てられてんだ?ていうか、ここは人なんて入れる場所じゃねえぞ。って、うおぉ!すげぇ!魔法適正がこんなに高いのは初めて見るな!よし、お持ち帰りだ!育てがいがあるぞ!」
凄く綺麗な……………………残念な女性でした。
そして、そのまま俺はお持ち帰りされました。
俺が女に連れてかれた場所は、山小屋のような場所だった。ちなみに、銀髪のロングで、胸は大きかったです。
基本、毎週土曜日の午後六時に投稿しますが、二、三週間ほど空けることもあると思いますが、温かく見守ってください。