7話 ノーパン男の買い物
宿をあとにしてショウについて行く
ショウが家族とよく行くらしい店に連れて行ってくれるということだ
店に行く道中様々な店があった、ここに来て見た服屋や屋台そして武器屋
それ以外に色々な果物や野菜を置いた八百屋のような店、雑貨屋
仕事屋というものもあった、ショウに聞いてみたところ、そこで一日だけの仕事もしくは働き口を紹介してくれる場所だそうだ
買い物が出来る店以外にも、占い屋に鍛冶屋、装飾品屋もあった
俺がいた日本では全く考えられない光景ではあるが、楽しく思える
初めての場所だからか、それともこの街の人の活気か、なんかよくわからんが楽しいな
そんな事を考えて歩いていると先頭にいるショウが店の前で止まる
「ここです、よく母とここに来てご飯を食べるんです」
どうやらここが目的地の店らしい、看板には相変わらずなんて書いてあるのかわからない文字が書いてある
最悪英語なら頑張れば読めなくはないが、全くわからん
「どうやらここは軽食店のようですね」
シャルが理解したように俺に話しかけてくる
軽食か、ここの軽食とはどんなものなんだろう
「それじゃあ早速入ってみるか」
ショウを先頭に店の中に入っていく
店内は少し薄暗い感じだ、窓からの光とロウソクで明かりを得ているらしい
テーブルが6つほどあり、テーブル一つに椅子が4つのセットだ
「いらっしゃい、適当なところに座んな」
カウンターにいた店主だと思う初老の男性が指示をする
とりあえず近くのテーブルに行き席に着く、しばらくするとカウンターの近くから女の人が近づいてくる
おそらくここの店員だろう、制服を来て髪を後ろで縛っている
「いらっしゃい、これがメニューよ決まったら呼んでちょうだい」
そう言うと女の店員はメニューを置いてさっさと行ってしまった
水がないことに違和感があったが、此処は俺のいた日本ではないのだから仕方のないことだと思うことにした
「では何にしましょうか?僕のおすすめはこの”ラブラの蒸しサラダ”です」
ショウはそう言いながらメニューを指差す
全く想像ができないがとりあえず頼んでみるか
カウンターの店員に声をかける
「注文は?」
「このラブラのサラダってのを3人前で、他になんか頼むもんある?」
「私はだいじょうぶです」
「水を3つ追加で頼みます」
「ラブラのサラダに水3つね、料金は銅貨9枚ね」
サラダに銅貨2枚って高くね?
仕方ないので銅貨を9枚渡す、店に入る前にショウから料金は先払いだと言われていた
女の人は銅貨を受け取るとそれを数えてカウンターに向かう
「サラダに銅貨2枚って高いのか?」
「いえサラダは1枚ですよ」
「え、水一杯で2枚持ってかれるのか?」
「ええ、水は貴重ですからね」
日本は恵まれていたんだな
どうやらここの水は川の水を汲んできてそれを沸騰させ、冷ましてから客に出すようだ
そういえば、俺がこの世界に来て初めて飲んだ水もぬるかった記憶がある、あれにはそういう理由があったのか
「はいお待ち、ラブラのサラダに水が3つね」
しばらくすると店員が食事を運んでくる
皿の上には生野菜が敷き詰めてあり、その上に白い肉のようなものが乗せられていて、その上にオレンジ色のドレッシングがかかっている
見た感じ普通のサラダだ
「いただきます」
さて味はどうかな、とりあえず先に野菜から食べてみるか
見た目はレタスみたいな感じだな、これにドレッシングを少しつけて食べてみる
「おぅ…」
「どうかしましたか?」
やばい、つい口に出してしてしまった
ショウが驚いた顔で俺を見てくる、俺はなんでも無いと言い食事に戻る
予想を大いに上回っていた、レタスのような野菜はまんまレタスだった
しかしドレッシングが思っていた以上に酸っぱい、例えるならレモン汁と塩を混ぜた感じだ
俺ならこのサラダはポン酢ドレッシングをかけるな
そのあとにラブラというものを食べてみたが、ぱさついた鶏肉だった
感想としては出されたら食べれるが、進んで食べようとは思わないだ
その後も酸味と戦いながら食べていく、シャルの方を見てみるとニコニコしながら食べている
シャルにはこの酸味は好物なのかな?
「ごちそうさまでした」
サラダだからあまり腹にはたまらないが全然ちょうどいい
酸味が強いドレッシングは食べ終わっても口の中に残っている感じがする、水を飲んだのに消えてる気がしない
「たいへん美味しかったです、このようなお店に案内して下さりありがとうございます」
「いえいえ、喜んでくれたのなら幸いです」
食べ終わり少し話してから店を出る
俺は服屋に行きたい、パンツがなくて気になっていたからな
シャルに聞いてみたところシャルは装飾品屋に行きたいそうだ、装飾品屋のほうが近いのでそっちに言ってから服屋に行くことになった
宿に戻りながら装飾品屋に向かう
しばらく歩き装飾品屋に着く
店のドアを開けると中には若い娘さんが数人いた、男も一応いるが1、2人だけだった、おそらく財布くんだと思う
そんな人たちの間をシャルは通り抜けて装飾品を見ている、誰かにあげるのかな?
数分したらシャルがブローチと指輪を一つずつ持ってきた
「父と母にプレゼントをと思い…」
親に贈り物か、そういや俺、成人してからになんも送ってなかったな
日本に戻ったらなんか贈ろうかな、まあいつ戻れるかわからないからしばらく後だな
「へー、いいんじゃね、それじゃあそれの代金俺が出すよ」
「申し訳ありませんが、お願いします」
俺が金を持ってるから俺が払うことになる
シャルと一緒に店員のところに商品を持っていく
「すんません、これ欲しいんすけどいくらっすか?」
「はい、銅貨20枚です」
ふぁっ!?高すぎぃ!!
えぇ…なにこれ…
ちらりとシャルの方を見てみると申し訳なさそうに俺を見ていた
まあ、俺が払うって言ったからね、仕方ないね
右手に銅貨を握り、左手を銅貨の入っている袋に入れ、バレないように”コピー”を使い増やす
一応同じものだということがバレないように袋の中でまさぐるフリをしながら銅貨を傷つけていく
20枚集まったら文句を言いたいが我慢して銅貨を払う、店員は銅貨の数を数える
数え終わるとブローチと指輪に何かをしている
「毎度ありがとうございました」
店をあとにして次の店に行く
服屋に行く道中にさっきの装飾品屋の店員が何をやっていたかをショウに聞いてみる
「あれは盗難防止の魔法を解除していたんですよ」
商品にはそのような魔法がかかっていて、解除しないで持ち出すと電気が流れて盗んだ者は気絶してしまうようだ
「次のお店に行く前にラブラを見てみませんか?」
そういえばそんな話もしていたなと思い出す
服屋に行く前にちょっと見てみるか、どんな動物か気になるからな
「俺は行ってみたいけど、シャルも行く?」
「はい、私も行きたいです」
シャルにも了承を得てショウに案内してもらう
大通りから少し離れたところに動物臭い施設があった
「あそこでラブラを飼育しているんですよ」
中に入ってみると鶏のような動物がいた
「この動物がラブラです」
ショウはその鳥を示した
ラブラと言われた鳥はこちらに近づいたり遠くに行ったりをしている
見た目は鶏だが、トサカが赤くなく黄色で体の色はシャモのような茶色をしている
俺が見ている隣でシャルが目を輝かせながら見ている
「シャルってラブラをみるの初めて?」
「はい、卵は知っているのですが実物を見るのは初めてです」
見たあとにヒナを触らせてもらったり、生まれたての卵を触らせてもらった
ヒナを手に載せているシャルはキャーキャー言っていて笑えた
ラブラの飼育施設をあとにして服屋に向かう
「綺麗な服置いてるよーいらっしゃい、いらっしゃい!」
服屋につくと店前で女の子がぴょんぴょんはねながら呼び込みをしている
黒髪でツインテールだ、髪が後ろから肩にかかるような感じの縛り方をしている
しかし頑張って呼び込みをしているが、誰ひとりとして店に入ろうとしていない
何か問題があるのだろうか?
「いらっしゃい!いい服置いてるよ、見てって!」
俺に気づくと近づいてきて元気よくはねながら元気よくしゃべっている
「じゃあ見せてくれるか?」
そう言うと少女は満面の笑みを浮かべ「うん!」と言ってくれた
「お父さん!お客さんだよ!」
少女が呼ぶとカウンターからいそいそとこちらにくる男性がいる
どうやらこの子の親なんだろう
「いらっしゃいませ、今日は何をお探しで?」
「パンツが欲しいんだけど」
「どのようなものをお探しでしょうか、この店には10種類もの下着がございますよ」
パンツにそんなに種類があるのか
俺がしってるのはボクサー、ブリーフ、トランクスだが、他に何があるんだ?
「こちらが下着でございます」
指されたところを見ると奇妙なものが見える
日曜夕方にやっている魚貝家族の毎年もろ出し少女が履いているようなかぼちゃパンツ
通気性抜群のスケスケのパンツ
夏に履いたら大変なことになるであろう鉄のパンツ
なぜか前と後ろに穴が空いている葉っぱのようなパンツ
なんだこれは
「これ以外にはないのか?」
「置いてあるの意外ですか?それなら」
親父さんが店の奥に行き、箱を持ってきた
「人気がなくて売れないやつならこの中にあるよ」
そう言い箱を開けると中に俺に馴染み深いものが入っていた
「トランクスじゃん!」
つい興奮気味に言ってしまった
シャルとショウそれに親父さんと少女も驚いた顔で俺を見ていた
「おっちゃん、これくれ」
「え?これでいいのかい?」
「キョーイチさん、これはやめておいたほうがいいですよ」
ショウにそんな事を言われた
「この下着はダメです、こんなにブカブカのを履いていたらすぐに落ちてしまいます
それにズボンの下にこんなに大きいのを履いてたら絶対に気持ち悪いです」
なぜかボロクソに言われた
よく見てみると、そのトランクスはゴムがない、それに少し長い
確かにこれじゃすぐに落ちてしまうだろう
「確かにショウの言ってることには一理あるな」
「でしょう?ですからこっちのを…」
「いや、俺はこれを買う」
ショウがかぼちゃパンツを持ってこようとしたので慌ててトランクスを指す
「僕の話を聞いていましたか?」
「ああ、聞いていた、けど俺はこれがほしいんだ」
その後、親父さんとショウに説得されながらも駄々をこねてトランクスを2枚買うことができた
「後悔しても知りませんよ?」
ため息混じりにショウが呟いた
全くトランクスの履きやすさに気がつかないとは
「キョーイチ様、先ほど買われたコレはお使いになるのですか?」
「ああ、今日宿に行ったら使うんだ」
トランクスと一緒に3つ買ったものがある、これは宿に行ってから一人でやるか
色々と回っていたらいつの間にか日が落ちてきた、そろそろ宿に戻るか
「それでは、僕はそろそろ戻ります」
「おう、今日はありがとな」
「ありがとうございました」
「いえいえ、それではまた明日の朝に馬小屋で会いましょう」
ショウと別れシャルと宿に向かう