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異世界放浪記  作者: zaruma
6/9

5話 ノーパン男のお金事情


シャルのところで世話になることになった



シャルの家まで近くの村から馬で2日行けるらしい


「自分で馬に乗ると疲れてしまうので馬車があるなら連れて行ってもらいましょう」


とのことだ

乗ったことがないからピンと来ないが、どうやら疲れるらしい

馬車について聞いてみたらRPGの馬車そのままらしい


そんな話をしながら森の中を歩いていると遠くに家のようなものが見えた


「あそこがさっき言っていた村、ポロカの村です」


村の名前はポロカと言う村らしい

まあまあの広さの集落って感じだな


「おや、ポロカの村にようこそ」


村に入ったら婆さんに声をかけられた

婆さんの格好を見ると俺の知ってる世界の服では無い

やっぱり俺は変な世界に来てしまったらしい


「旅の方かね?宿は酒場にあるよ、酒場はあそこの大きいところだよ」


婆さんはそう言いながら建物を指差す

建物を見ると2階建ての木造建築だ、出入り口の上に看板があり文字が書いてあるがなんと書いてあるかさっぱり読めん


「親切にありがとうございます、今この村の馬車はいらっしゃいますか?」


「馬車?ちょっとわからないね、馬小屋に聞いてみてくれるかい?」


婆さんに馬小屋の場所を聞いて早速向かってみる



「馬車かい?あぁ~朝一番に出てっちゃったから今はないね」


どうやら俺が起きた時間にはもう出て行ってしまったようだ


「ちなみにいつ戻るとかわかります?」


「多分夜くらいに帰ってくると思うよ?けど夜道は魔物が出てくるから馬車は出せないだ、だから明日の朝一番に乗るしかないね」


明日か、それじゃあ今日は何をして時間を潰せばいいんかな


「君らお金は持ってる?」


金?そんなもんもってないぞ?

シャルの方を見ると困った顔をしていた


「ちなみにどれくらい掛かるか教えてくれません?」


「マイアイまで銅貨5枚ってところだな、どこまで行きたいの?」


「コーリアウスまで行きたいのですが・・・」


「コーリアウス?それじゃあここからマイアイに行ってからコーリアウスに行くのがいいな、それだと銅貨12枚だな」


マイアイってところからコーリアウスってところまで銅貨っていうのが一人あたり7枚必要らしい

というか、それよりもだ


「俺ら、金ないです…」


「え?じゃあどうやってここまできたんだ?」


俺のことは伏せてこれまでのいきさつを馬小屋の兄ちゃんに話した


「それは、大変だったな…」


まあこんな反応をするわな

俺もシャルの話を聞いて絶句したからな


「うーん、それじゃあ金もないのも納得するな」


「ものは相談なんすけどツケってできないっすか?」


「う~ん…」


しばらく兄ちゃんが悩み「よし」と言った


「それじゃあ今回は特別に俺がコールアウスまでの駄賃出してやるよ」


「マジっすか!?」


「おう、大変な出来事の後だからな、まあ今回だけ特別だぞ」


「ありがとナス!」


「ありがとうございます!」


「けど、タダで出してやるのも俺に得がないから、俺の手伝いしてくれ」


「ウス!分かりました、何やりゃいいっすか?」


兄ちゃんの手伝いをすることになった

馬小屋の兄ちゃんはジャンという名前だった

俺の持ってた漫画のキャラでもそんなうまづらがいたような…

まあ、それはいいとして、手伝いとは馬の世話だった

生まれてこのかた馬の世話をしたことがない俺は役立たずであった

シャルは世話をしていたらしいのでてきぱきと与えられた仕事をこなしていく

俺は藁や薪を運ぶ力仕事をした、スキル「身体強化」を使っているのでさっさと動けて楽に出来る


「よし、そろそろ昼にするか!」


ジャンが家からかごを持ってきながら言った

そういえば朝洞窟から出てそんなに経ってなかったことを思い出した


(洞窟にいた奴ら俺らのこと探してるのかな?)


そんなことを考えたが、あいつらが悪いことを思い出し考えるのをやめた


「簡単な物しかないけど食ってこのあとの仕事も頑張ってくれよ」


ジャンはカゴの中からパンと果物のようなものを取り出した

パンはバターロールのような形をしているが色が白だ

果物の方はバナナの形をしているが色が真っ赤だ


「海の生き物、森の生き物、調理をしてくださった人々に感謝を込め…」


シャルが胸の前で手を交差させブツブツと何か言っている


「おや?その口上は…」


「あっ、すみません、気にしないでください!」


シャルは少し表情を固くしてパンを食べた

さっきの口上は何かあるのか、と思ったが言いたくなさそうな顔をしているので聞かないようにしよう


「いただきます」


いつものように手を合わせ言葉を言う


「ん?何だいそりゃ?」


「俺の国では食事の時にはこう言ってから飯を食うんだよ」


「へー、初めて聞いた」


「私も初めて聞きました」


そんなことを話しながらパンを食べる

味は悪くない、見た目のまんまのバターロールだ、少ししょっぱい気がするが全然いける味だ

こっちのバナナは外側の皮をナイフで切って食べるものだった、外は赤いのだが中の実は黄色である

食感はバナナなのだが味はりんごのような味だ

話しながら食べて、食べ終わったらそのまま仕事に戻った



夕方、太陽が真上から下に沈んでいく

地球では東から西へ太陽が沈んでいくがこの世界では逆らしい


「綺麗ですね、こんなふうに日が沈むのは久しぶりにみました」


夕日を眺めているとシャルが俺の隣に並んで夕日を見ていた


「おーい、そろそろ片付けするぞー」


後ろから呼ばれて振り返るとジャンが立っていた

それぞれ返事をして後片付けに向かう



「おつかれさん、助かったよ今日だけで1週間分の薪が確保できたよ

 それじゃあこれが今日の分の銅貨な」


そう言って俺に10円玉のようなものを手渡した

これが銅貨か、色形は10円玉だが絵柄は違う、誰かの横顔が描かれている

そんな銅貨が30枚あった


「ありがとナス」


「宿に泊まって、明日の朝にここに来てくれればマイアイに連れてってやれるからくれぐれも寝坊したりするなよ?」


「宿ってこの近くにあるところっすよね?あそこってどれ位掛かるんすか?」


「一部屋一泊なら銅貨5枚ってとこだな」


思ったよりも高くないんだな、二部屋でも10枚ってことか


「飯も食べるなら大体一食2枚ってとこだな、確か一番高いので銅貨3枚だったかな?」


色々と宿の情報を聞きジャンと分かれた

宿に行って風呂入って寝たいわ


「それじゃあ宿に行こうか?」


「はい」


シャルが昼からあまり喋ってないのが気がかりだ

食事の口上を指摘されてからなんか周りを気にしているような気がする

そんなシャルを連れて宿にやってきた

入ってみると数人がテーブルに飯と酒らしき物を並べながら談笑している


「いらっしゃい、宿かい?それとも飯かい?」


カウンター越しに五十代くらいのおっちゃんが俺たちに話しかけてきた


「宿を一泊借りたいんすけど」


「二部屋で10枚だよ」


「シャルはそれでいい?」


シャルの方を見ると不安げな顔をしていた

「どうしたの?」と聞いてみる


「いえ、できれば一緒の部屋でと思ったのですが…」


なんでだ?一人部屋の方が落ち着かないか?


「なんだい?お客さんのこれかい?」


宿屋のおっちゃんがにやりと笑いながら小指を立ててきた

シャルが少し頬を赤くして俯いてしまった


「そういうことならひと部屋で二人のところがあるがそっちにするかい?

 そっちは少し上がって銅貨7枚だよ」


俺が考えていたらシャルが「そっちでお願いします」と言っていた


「あいよ、飯はどうするね?」


「軽いものをふたり分部屋にもってもらうことはできますか?」


「おう、飯代と宿代合わせて銅貨11枚だよ」


俺があんぐりとしている間に話がトントン拍子に進んでいく

シャルに銅貨をあずけていたのでシャルが支払いをしている

銅貨を確認し終わったおっちゃんが部屋の場所と使用法を教えてくれた

部屋には鍵の代わりにかんぬきがあるらしい

聞き捨てならなかったのが風呂が無い、シャワーもない

どうやって体を洗えというのか!

部屋に水の入った桶があるのでそれで体を拭えとのことだ

色々と困惑しているとシャルに手を引かれて2階の部屋に入った


「すみません、私の勝手に巻き込んでしまって…」


謝るなら俺の意見も入れてくれればいいのにと思ったが言わないようにしておいた


「まあ、それはいいけど。俺と一緒よりも別々の部屋の方が落ち着かないか?」


「えと、あの…」


うつむきもじもじとしている、その仕草が結構かわいい


「実は、怖いんです…」


怖い?一人で寝るのが?

外見を見るに大体20代かそこいらだと思うが、一人で寝れない?

そんなことを考えていると「違うんです!」とシャルが声を荒らげて否定をした


「家では一人で眠れてます、しかしあんなことがあったばかりなので、一人で寝るのが怖いのです…」


そういやガイウスだっけ?シャル以外にも生贄がいたとかなんとか言っていた気がする

けど、牢屋にはシャル以外がいなかった…

あっ…(察し)


「そういうことならいいよ、一応言っておくけど俺はシャルに危害は加えないから安心してくれよ?」


「はい、キョーイチ様がそのようなことをするお人には見えませんので、安心です」


シャルには俺がどんな風に見えているのか見てみたいもんだ

それから少しシャルと話をしているとここのおっちゃんが来て飯をおいて行った

それを食べて桶の水で体を拭いた(お互いの体を見ないように相手に背を向ける感じで水浴びをした)

シャルがあくびをし始めたのでそろそろ寝ることにした

部屋のかんぬきを確認してベッドに入る、洞窟の方のベッドもどきよりも全然寝やすい

明日は朝から馬小屋に行ってマイアイに行き、マイアイからシャルの実家があるというコーリアウスに向かう


(なんでこんなことになったんだろうな)


全く知らないところにいきなり連れてこられて、変な集団にやんややんや言われて

シャルにあって、ガイウスたちがろくでもない連中で、パンツも無いし…

全くとんでもないな、どうにかし俺のいた地球に帰れないか

ガイウスが言うには帰れないというがそんなことは無い…と思いたい

恋人はいないがダチに家族もいる俺がいなくなってどうなっているんだろうか

携帯にオカンから電話がかかってきてるのかもしれないしダチかも知れない

このまま眠って朝起きていたら俺の部屋で寝ていて、夢オチってのが安心するが…

寝る前にそんな事考えないようにしよう、朝起きて夢オチでなかった時の絶望を考えたくない

となりのベッドではシャルがいつの間にか寝息をたてていた

俺も早く寝よう


こうして異世界での2日目が終わる


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