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あ
○○
本能に よって 寄り来る モノは 収得すれば 過ぎ去る。
何ぞ 引き留める すべが 有るか。
形骸が残る。
足跡が続く。
名残は片隅に。
茫漠ぼうぼうと。
○
待ち人 来ず。 誰を も待たない故に。
来る事無し。待望無し。
開かれた門戸に人無し。
細く 断続した 流れ がそよぐ。
おお 奉納する は 振動。
上下する頭部 二度。
痙攣し
柏手。
合掌し
柏手。
瞑目。
振動止む。
○
内骨格を 突き破る 痛み。
肋骨から はみ出しそうな 緑黄色。
鍛えた頭筋が頭骨を握り潰すのは 先々か。
ぺきぺき 鳴るのは 眉か 額か。
連れて引かれて 仮託の髷は 顔を上げる。
髷を引かれて 引き絞られて よちよち歩く 隣の隣。




