90/493
あ
○○
鯉口が切られる。
重み と 振動に よって 。
鯉口が水平から垂直に近付く過程で 鞘に腕の重みが のし掛かる。 徐々に。 鍔に添えられた親指が 鞘から離れつつあるのを直ぐに知らせる。
親指で切るのでは ない。親指は別離の 感触/喪失を 伝える。
鍔に添える親指は別れを伝える を味わい ながら。
落髪脱毛 櫛梳る後に。 見届ける。ただ。
思惑も無く たった一人の観客として。現れた結末を。
○
落下点を目指して 進んで行く 肉のからくり。
何時 抜けるのかは知っている。
同じ様に痙攣する。 同じ腕の 同じ重さ。




