開脚前屈
○○
柔軟の為に費やされる時間で最も比重を占めてきたのが、開脚での前屈だった。
より柔軟に成るべく工夫を凝らし痛み難渋して懲りず、自身の調整を求めた。
他の部位より際立って工夫の種類が増え続けた。
今日使えたのが次の日には使い物にならず、
昨日駄目なのがその日には頗る具合が良い。
これだと思えば次の日にまで痛みが残り困惑した。
昨日はこれで行けたじゃないか。
何故合わないのか。
疲労か別の要因か。
めまぐるしく入れ替わる僅かな違いしかない双子、三つ四つ多つ子を量産した。
些細な違いが別つ結果に分けも分からず、増やした手探り 惑う。
その瞬間目的を達成するならば。 捨て置いた。
多産多消に埋もれて単純かつ冴えた一解は何処かしら。
決 今度こそ完全版を手に入れた。
否め、いつも通り直ぐに駄目になる。
ゆらゆら反射期待とぐらぐら危機諦観。
行きつ戻りつ。
規律に が遊びふにゃふにゃと混じる。
欲すれば欲するほど柔軟に適した身体の事前が損なわれる。
常に不足しているかもしれない。
身体上に使う必要があるにも係わらず怠けている部位が認識も曖昧であるやもしれない。
または使えていると考えても使えていなかったり
使い方が異なっているかもしれない。
そしてそれは指摘されないか指摘されても適切に理解されない。
○
恐ろしいのは、とっくに終わっている事だ。
気付いていないだけで完了したまま、さ迷っている。
張り付いた終りを知らず知るすべもなく。
止め時を失って。
器になみなみと注げ。
甘い滴を。
今は何れだけ貯まったか知らずに。




