あ
片付けて。
六月いっぱいで立ち退きとの事だったが、何の音沙汰もない。出てくのか。いかないのか。穴を掘るのか、掘らないのか。ここまで来てまた怪しくなりつつある。
倉庫にいったん持ってかえった模擬刀を持ち込む。二階の天井の方が高くのびのびと刀を使えた。鬱屈した日々。これからどうするのか。何もない。
○
小話。
霊媒は神と死神を分けて話す。分野が違うと言って。あるとき、僕はこう言った。:死にたいので死なせてくれ。出来るだけ楽に。
すると霊媒は言った。:死神は親兄弟の命を捧げるならやるそうだよ。
また別のあるとき僕は言った。:神と分野が違うというなら頼んでやってもらえばいい。死神に。
すると霊媒は言った。:死神は納得出来ないそうだよ。お前が早々と死ぬということに。
その口振りは死神がまるで義憤を持ったかの様な口振りだった。
僕はこう思った。いや、前は願いを叶える代償に親兄弟の命を要求しておいて今更いい奴っぽく振る舞おうとしても無理だよ。
ちなみに親兄弟の命は僕のモノではないので僕に言われてもどうにもなりませんと言って当時は諦めた。
当時、じゃあそれでと言っていたら皆死んでいたのだろうか。次に頼んだらどう返答するのだろう。
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先日、僕が死体を持ってくるのを何故だか重宝している霊媒は僕にビニール袋を何個も入れた袋をくれた。出掛けるときこれから袋を持っていきなさいと。イタチの死体を持ち込んだ次の次の日の事だ。そんなにいつもいつも死体を拾って来るわけがない。好きで拾うわけでもない。折り畳まれたビニール袋の束が入った透明なビニール製の小さめな手提げ鞄を見て僕はうんざりした。死体を見つけた時の様に。




