い
いいんじゃないですか。
雑誌、チラシ、ポスター。倉庫の紙類を回収してもらう。
ここのやつを持って行くよという話を聞いた。実際持って行った。予定通りだ。しかしそこで終わりにならなかった。足りないというのだ。
倉庫を漁りそれらしいものをかき集める。そのなかに私物の雑誌があった。これは持って行っていいのと聞かれた。僕はいいんじゃないですかと答えた そちらを見ずに。僕は倉庫の奥で渡せそうな紙類を漁った。僕はそもそも詳しい話を知らないのだ。持って行く予定のモノを差し出しているのにそれ以上を求めているのだから。そうして倉庫からあらかたの紙類が消えた。多くの店のモノともしかすると少しの僕の私物が消えた。やれやれ。
が、いいんじゃないですかでは全然なかった。
霊媒にその事がばれると大いに怒られた。日本語が通じないのかとさえ言われ、子供でも出来ることが出来ないのかと痛烈に扱き下ろされた。僕は僕の私物を持っていきたい人にいいんじゃないですかと言った。しかし持って行ったかは見てない。どれだけ何を持って行ったかさっぱりだ。そしたら持って行かれた後で自分の物を大事にしろと怒られたというわけだ。
霊媒は僕の物はそのままにしておけと言う。
僕がいつか帰ってきて読むかもしれないから。
死んでしまった後。ずっと後に。
霊媒は信じているのだ。死者が帰ってくる事を。
あるいは神々が怒るのだろう。些細な事で。流行り病が世間を脅かし心配が尽きず過敏になっているのだ。小さな不手際が恐ろしいのだ。浴びせられる叱責が。




