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に
虹。
虹に背を向けて歩いて帰る。西日がアスファルトを照らす。雨上がりの濡れた公道を。街は白く輝いて歩くと眩しくて目を背けた。ふと後ろを見れば空には虹。何かいいことがありそうだ。前を向いて歩く。ふと言葉が浮かぶ。幸運に背を向けて遠ざかっているのでは。ぎっこんぎっこん靴擦れした足でぎこちなく歩いた。幸運から来た男に成れて運がいい。そう思おう。深く考えずいよう。照り返しで街が眩しかった。目を焼かれるようだ。
そういえば神社の手水舍が閉鎖されていたな。流行り病の為という旨の貼り紙があった。水は無く岩は乾き柄杓はおざなりだった。
家に帰ろう。明日を信じて。




