表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
465/493

あく


 あくま。

あくまが見ているという話を聞いた。

窓からそっと見ているのだという。

人間があくまを見える様にならないよう願いながら。

そうして思い出すのだ。

人間はその正義感からあくまを捕らえ引き裂くという話を。

その話を恐れ、その話に脅かされながら人間が自分達をけっして見ないように見ているのだ。そうする事でそうなると信じているのだ。どこか遠くで隠れていればいいものをそうせず近くに隠れて覗くのはいつも確認していないと不安でしかたないのだろう。

見えていないか。


 僕。

そういう訳で僕がそういった奇妙なものを見ないのは悪魔の仕業というのが霊媒の言だった。僕はよく考えたなと不覚にも思った。古典といってもよさそうな説だがなんとか捻り出したんだろう事を思うと少しだけ和んだのだ。そのぽっと出の古めかしい説はきっと何処かの古代の霊媒もこうやって何とか現実と言葉の辻褄を合わせたのだろうと僕に思わせた。

つまり妨害があったので予想を外したから嘘つきではないという理屈だ。ああ妨害が、なければきっと見えたのになあという訳だ。


見通しが甘かったです。御免なさい。これを言えさえすれば格段に進歩するのだが、言えないのが神々の辛い所なのだろう。

霊媒も大変だ。僕は霊媒になれなかった幸福を噛み締めた。


 霊媒が言う僕の本質であるという善は悪魔を殺すという。

僕は思った。そいつはきっと先に自我である僕を殺すだろう。僕は悪魔なんて、どうでもいいと考えているから。

悪魔を殺す障害である僕という自我を本質の善はきっと許さないだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ