表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
445/493


 早く。

早く帰って眠れとのお達し。日付の変わる前には眠れとの事だ。来月の満月まで。夜更かしは大敵という事だろう。何に対してかは分からないが。帰れというなら帰ろう。家の寝台の上に。座を組むのは夜の方が捗るのだが仕方ない。今度から少し早めに組むとしよう。


 ○


 前屈。

開脚し前屈する。痙攣者必須の柔軟体操。股関節はすぐに錆び付く。腿の裏もだ。ぎこぎこと可動域を復元する。痛みと共に。昔はそのうち痛みが無くなるだろうと思っていたが。十代二十代ときて三十代でも痛みとぎこちなさと共に始めている。一生こうなんだろう。そうしてぎこぎことした動きは徐々に滑らかになり床に接吻して終了。痛みに堪えた報酬が床への唇の接触。ちっとも嬉しくない。


 ○


 月を見たかったら。

電話が鳴る。取るか。霊媒だ。そして霊媒は月を見ろと言う。僕は倉庫を出て真上のこれから満月になる殆んど満月の月を見上げた。

霊媒は言った。:見えたか。

僕は言った。:見ているよ。ぼんやりとした月だ。

月の光が滲んでいるかのようだった。電話を切った。


後日、霊媒は虹を見たと言った。満月の回りに環の虹を。

霊媒は言った。:見えたか。

僕は言った。:言った通りです。ぼんやりとした月でした。虹は見ていません。


霊媒が言うにはその虹が証なのだという。何やら僕に助勢してくれているのだそうな。その証に月に虹を掛けたのだという。

僕は言った。:月に虹が掛かるのと僕には何の関係もないですよね。

霊媒は言った。:そう言われるとそうなんだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ