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う
うん。
延期か。天候を鑑みて今月の満月には行わないとの由。
年末年始の忙しさも相まって致し方なしか。
髪も切れとの仰せ付け。空白か。
終わりは伸びて待ち。
日付も変わりそろそろ帰るかと思ったら倉庫に来客。
灯油を買ってくるというので空の灯油缶を二缶渡す。
しばし待つ。夜更けに開いてる所を探しに行った。
見つかるか深夜営業店。待て。待て。となると急に眠い。
暗い倉庫、蛍光灯の明かりの下にて。
力。
ちからがあったためしなく。
有るよといって有ったためしもなく。懲りずに言われて十余年。懲りても言われてもう数年。そんなものは僕に無いと言うのも疲れてあと何年。霊媒は言った。:あるよ。無いとは言わなかったよ。
○
夜空は群青で冬の星が僅かに散らばり雲は薄く高かく伸びやかだった。月は煌々として膨れてきている。冷え冷えとした夜は童話を思い起こさせる。悲しげな話と結末を。




