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う
ん
うん。午前0時。誰も来なかった。迷いこんだ乾いた蛙は昨日霊媒に渡した。紙の容器。ラップで蓋をし輪ゴムで留めて爪楊枝で刺して空気穴を開けた。あの蛙はどうなっただろう。てっきり来ると思っていたから何も聞いていない。蛙はどこかの水辺に逃がしてもらえたのだろうか。それとも飼われているのか。何も分からない。あごをぷくぷくと小刻みに膨らましていた蛙。もはや手を離れた蛙。柔らかくひんやりしていた。
蛙に触るのは人生で二度目だ。小さい頃親父の実家がある山で触って以来か。何があるか分からないもの。乾いた迷子の蛙。




