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こ
ばなし。
霊媒は言う。実証も出来ぬ事を。死後を。あるいは実感出来ぬ遠くの事を。確かめようもない事を確かな事の様に話す詐欺師の口。役にたたない諸々の事を司るかのよう。天候を左右し、影を作り出し、彼岸と此方を往き来する。身を分けて同時に在り、影を支え維持する。これ等の事をさも事実の様に話す。しかも自分がやると言わず押し付けた。僕に。当然その様な事は出来ない。出せと言われても何もない。
不思議だ。
その固い確信。
当の本人も出来ませんと言っている。どこふくかぜだ。正直な告白など。出来ない事を出来ないと言う。その簡単な言葉を受け入れてもらえたら。
少なくとも実感はない。そう、いつものようにお茶を濁した。
21世紀が遠くに感じる2019年の秋風は熱い。




