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 ンクリート。

コンクリート。打ちっぱなし。剥き出しのざらざら。灰色。空調はよく効いて涼しい。薄暗いピアノ教室の待ち合い室。そこには本が幾つかあって、読んで待った。そこには怪談話の本も。


怪談を読むときは昔から何となしに救いを探していた。悪い時にも希望があるような気がして。悪い時こそ。

しかし、読んだ怪談はそんなもの存在しないかのような話ばかりだった。不思議だった。救いがないという事が。救いというものはどこにでもあると思っていたから。


 今からすれば何でそのような考えになっていたかさっぱり分からないが、とにかくわざわざ怪談話を読んでは救いを探していた。恐ろしいもの、届かないもの、悲しいものにこそ救いが必要だと思って。


 ほんのりと希望をほのめかす程度。

たまに。ちょろっと。あった。あるにはあったがやはり怪談は救いの話という訳ではないのか、もの寂しい感じの救いだ。


 ○


 怪談には救いがない。

まあ、あるものもあるがやはり足りない気がしてならない。

悲しいもの。怖いもの。そこに救いを探そうというのが土台無理な話といつしか諦めて怪談に救いを探すのも遠くなっていった。

そうして諦めて、諦めたが今でもうっかり怪談を見ると何処かに救いがないものかと思っている。

ぼんやりとした善良なつもりの子供だった。その事を思い出しながら。

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