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 いぞん報告。

暖かい血が冷えた筋肉を通過し続ける。途絶える事のない血の流れは陽発気生を思わせる熱を皮膚に与えている。

冷える筋は休まり更に休まりますます冷える。相い互いという他ない。そしてそれが偽りの熱感をあたかも生じさせているかの様だ。


室温は32.4℃湿度58%

皮膚は常にうっすらと湿っている。発汗機能は今日も問題なく働いている。


 ○


 痙攣。

進捗は無し。細かな変更は相変わらず絶えることもなく続いている。囲いの中をうろうろとする。新しい事もなく。

この空の下、新しい事は何もない。

浮かぶ言葉は僕を元気付けはしなかった。


 ○


 柄。

模擬刀のあるいは真剣本身の柄は平たい。これは柄の左右が平らになっている為だ。このちょっとした工夫は竹刀にはなかった。

竹刀の柄の丸さというのは。

木刀もやや丸いが気持ち楕円だ。※柄巻きがしてある木刀はそうでもないのかも知れないが触ったことがないので分からない。その点は識者に聞いてほしい。本身の柄でも丸いものもあるかもしれない。


初学者にとってこのちょっと平たい柄というのは問題だ。手のどの辺りに収めるかという問題だ。留めるのは肉か骨かという問題だ。しかもこの柄は滑る。それの確認は簡単だ。練習後に手の甲を見ればよい。親指と人差し指の付け根が赤くなっているなら抜刀時に柄が滑って鍔が手に当たっている。

切っ先が鯉口を抜けた瞬間、抜刀から抜き付けに移行するその一瞬、初学者は拳が止まる。胴を使えずに右手だけで抜くからだ。その時に手の内が出来ていないと柄が滑るのだ。


柄の形を認識していない。手の指が掛かっていない。柄の菱目は飾りではない。


この手の赤みが暗示する問題だが、ある種の人には問題として認識されない。素手の武道武術を経験している人で、その中でもさらに鈍い人だ。つまり僕だった。


練習で身体が赤くなるなんてのは汗をかくように当然だからだ。内出血や痣なんてのも日常茶飯なのだ、どうして少々こぶしの二点が赤くなっている事を問題として思えるだろう。

認識していなかった。全く。そういうものだとばかり思っていた。人の手など見もせず。そういうものだと。殴っても赤くなる。抜き付けても赤くなるものなのだろうと。


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