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 ずげで。

濁音が響いた。それが自らの頭骨の内か外かは判然としなかった。音が若いのか老いているのか、男か女か。それも判然としなかった。ともかく目蓋が反射し迅速に開いた。冷えが足先から乳首の辺りまでするすると浸した。それは両腕も浸した。手首から脇までの腕の内側を。


賢い空調装置が時間通り自動で切れ室温が上昇した夜中。無音の室内で図らずも開いた目蓋を僕は望んで静かに閉じた。

自分には何も出来そうもなかったから。


暑い。目蓋を開け起き上がり遠隔操作をした。装置を操作し冷房をつけ、三時間後には切れるように設定し、横になって目蓋を閉じた。

なだらかに寝りに入っていった。夢を見なかった。あるいはすっかり忘れさった。

冷えに浸された身体は何事もなく再び暖まっていたが空調装置がすぐに室温を快適な温度にし、身体もほどほどに冷えるだろう。

僕は助けを求める音を聴いた。冷水のような冷えに浸された。だがそれだけだった。


日常は少しだけ揺れて収まった。

日常はそのまま続いた。

何か得体の知れぬモノを呑み込んで。

結局すぐに忘れるだろう。

飽和し溢れ取り返しがつかなくなるまで。

日常はそのまま続いた。


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