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 い院。

昼前の玄関前で何やら物音。そっと扉の覗き窓を覗くとそこには父がいた。あ、退院したのか。鍵を開けて扉を開けた。おお、お帰りなさい。さも今気付いたとばかりに声を掛けた。だいたい一週間ぶりに会う父は老けて見えた。乾いて細く透明な感じを受ける。通いでの治療に移行するそうだが、どうなることか。

老いとは恐ろしいものだ。小さく細く脆く死にそうだ。僕は父に一声掛けた。それじゃあ行ってきます。それに父は元気に返事を返した。はっきりとした発声で。その内容は忘れた。


 ○

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