ひ
らかれた。
皮膚と神経という開かれた回路。知らず知らずに作用させ合う。今のところはこの通電しやすさを持つ脆弱な生命めいた特徴を有する機械は街にいない。街をうろついてはいない。
この雰囲気の有無があるかぎりは人間にも所作を通じて伝え教える立場が残されるだろう。隔離された神経を持った故の雰囲気の欠如が予感を抱かせない。この雰囲気が所作をなぞる機械と人間を分ける。みずからの動作がみずからに作用し発展を促し、必要を超えて輝かす。反復の内に増幅が渦巻く。共感は更なる共感の呼び水となり激しさを増す。つまり、あれだ。あれって何かは諸説あるが、出されたものが見事なら、じゃあそれでとなるあれだ。そうじゃないと思っても、これはこれでとなるあれだ。じゃあいらないのかとなるといるということだ。
○
手袋。
一組紛失した。黒いのをなくした。
ぼろぼろの手袋だった。親指と人指しと中指が穴だらけ。人指しにいたっては指の腹側が根元付近まで破れてびらびらしていた。色も変色して茶色の部分が所々あった。ほとんどゴミ同然。仕方ない。
そういえばサンダルがぼろぼろで気になると言われた。いつ捨てるのか気になるそうだ。鼻緒が大分弛くなってきたのでそろそろだと言っておいた。既に次のサンダルは買った。そのサンダルは棚に置いてある。もうすぐ履こう。もうすぐ。




