374/493
あ
○○
弱音を吐き々々。刀を引き上げる。
小鼻を眉へ、痙攣は起こる。次に小鼻を唇へ。痙攣は続く。足裏を一二と握り張る。痙攣は拡張する。足首を一二とふくらはぎへ揺する。痙攣は延びる。
とんと。とんと。とんと。とっとぉん。
右手に提げた玩具の刀を引き上げる。刀の腹を前方に見せて。手のひらを向けて。柄は右から。切っ先は左から。みしりと手のひらに食い込む軽い玩具の刀。額の前に掲げれば、刀身に何やら乗ったかのように重く辛い。透明な小人がぶら下がっているようだ。腕は痺れ、顔は歪む。大気の重さに嫌気が差す。
それはそれとして歩き出す。のろのろと。ゆらゆらと小人がゆれる。重い。意味はないと確信できるなら、直ぐにでも止めたい。痺れは痛みに似て身を苛む。短い現実からの逃避をしていると直ぐに壁際にたどり着く。刀の腹を上にしたまま少し下げる。次いで刀を傾けて刃を下へ。落下。小人は消え、苦しみは終わる。
見る。手のひらは赤い。荷重の後がはっきりとしていた。




