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あ
○○
お誘い。
霊媒は言う。:影は呼べば来て、喜んで力を授ける。諸々の予言された力を与える。ただ呼べば。
また、霊媒はこうも言う。:彼等は一様に呼ばれる時を期待し、眼を輝かして待っている。
僕は言った。:呼ぶのは有り得ない。呼ばれる事はない。情けで伝るのを延ばしても、結局は辛い。伝えられた時に、期待した分だけさらに傷付く。
楽しい時間をありがとうとはならないだろう。
信じるモノにそんなものはないと言うのは酷か。
ありきたりな悲惨は避けられず、今か今かと固唾を飲む。
僕が曲げて呼べば良いか。そうかも。しかし、気が変わって呼ばないように顔も名前も知らないようにした。名を付けるよう頼まれたモノ以外は番号で呼んだ。その名前もすぐには思い出せないのがほとんどだし、容姿も伝え聞くだけで曖昧だ。
丸投げだ。どう転んでも損はない。得もない。余所事だ。
可哀想ではある。恵まれない子供たちのように。
ただ僕は恵まれない子供たちに何もしない。
恵まれない子供たちが僕に何もしないように。
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