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霞み
○○
神々に幸せなど有るのだろうか。
向こうとこちらの橋渡しをしたとして、何を伝えるのだろう。
愛や何かしらの素晴らしい言葉を伝えるのだろうか。
図書館なり本屋なりに行けば溢れている、ありふれた言葉を。
正しさを伝えて正しくなるのだろうか。
苦しいだけなのでは。
遠くに有る正しさ。
赤子が老人に成るまで生き残ったのならそれはもう赤子では無い。
神々は死者ではない。
なら何なのかとも思うが、来歴も定かではない。
○
ある時、
寝床に横たわっていて、右手が顔の前に来ていた。
右側を下にして。
右手首の内側をぺたぺたと触られた。
一回の接触範囲は、小指の先ほど。
感触は粘着力が落ちたセロハンテープの様だった。
それを連続してちょんちょんちょんと四角の内側を埋めるようにして動かしていた。
僕は寝返りをうち、右手首を布団に仕舞った。瞑目。
○
次の日
感触がぺたぺただったと伝えた。
神様も風呂に入った方が良いよと伝えた。
霊媒へ。




