あ
○○
搾取の機構。
搾取する層とされる層。名前を次々と入れ替えながら結局は堅持されてきたその機構。それを嫌った。その仕組みから離れていたかった。あるいは別の新しい機構を構築したかった。忘れ去ってしまいたかった。そもそもの土台に対する不信と嫌悪。それを信じた。それを確かなモノにしたかった。
しかし、本当にごめんなさい。それはあやふやで消え去る。吹き消される。扇がれ揺らめき断続ののち無くなる。何故か。囁かれる。引き抜きだ。妥当かつ優れた選択の提示。それに動揺する。その時、それまで憎んでいたのは搾取する層と搾取される層という機構か搾取されている自身の現状だったかあやふやになる。
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現状。
現状への不満を大きな枠への、根本への不満へすり替えていたのか。それは自身が浮かび上がれば消え去るモノだったのか。その程度だったのか。苦しめられた感情は他人事の様だ。その事実に怯えた。
そして手放した。錯覚の自分への手向けに。我が身が可愛いだけの男から、夢見がちな子供へ。それは本当ではなかったけど、もし本当だったならきっとこうしただろう。
搾取する機会を放棄した。古い慣習に従った。善いものは分かち合う。




