ある動作の形
○○
ある動作の形。
その写真。
複数枚の。
写真群。
その写真の動作を判するに、それがある程度の連続した写真群の一つだとしても、前後の動作を推察可能なのだとしても、
やはり隙間があり、そこには曖昧さが存在する。
開いた手のひら、が
より開いた状態から、萎む事によってその状態に移行したのか。
あるいは
小さく整い纏まった状態から解れてその状態に移行したのかを、
写真と写真との隙間空白は教えない。
連続した写真は流れを示唆しながらも、それがどういった流れなのか明確にはしない。
動画ならどうだろうか。
より連続した、隙間を潰した一連の映像。
より分かりやすい教材。
より裾野が広がった。
○
考えを鈍らす。
酒類。
動作が無い事が、真似を拒絶する事が、素晴らしい何かに従事しているという実感を与えない事が、
長く不毛でどうしようもない屈辱と下等劣根であるという事実を耐えさせる。
卑下。
「そう卑下するなよ」そう卑下するなよ。
事実を述べても、そう言われる事に耐えさせる。
僕にとっての当たり前当然現実が、卑下に映り聞こえ過ぎた謙遜に取られる。
屈辱だ。
事実そうなのだ。
訴えて。
起こった事例を挙げ、関連と類似を指摘しても、
聞き流されて終わり。
繰り返される失敗。
よくやっている、というありふれた慰めの言葉。
流れて行く訴え。
繰り返される失敗。
慰め。
今に良くなる。
良い事がある。
回天の日は近い。
○
馬鹿。
鹿を馬と宣いける。
これぞ霊媒の全て。
これぞ渡世の全て。
これぞ拳。
あの鹿は馬だ。
「立派な立派な馬で御座います」
○
山羊に頭突きされ、苅り終わった畑に倒れ込んだ。
女の子座りに為りながら。
痛い、手を擦りむいた。
後は膝も。
「大丈夫って言ったじゃん」
僕は泣いた。
大人達は朗な和んだ会話をした。
僕は泣いた。
大丈夫かと聞いて保証され実行し痛い目をみた。
嘘だったのだ。
あるいは、どうでもよかったのだ。
それぐらい。
死にはしない。




