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あ
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装置。
影を排出する。毎月毎月毎月だ。一つ出す。満月に一つ。ただこれだけが価値。その為の機構。見ず聞かず話さず触らず気にしない。影を排出する。興味もなく。
俗世の垢は着かず、人の醜さは遠く。純粋な素体だ。理想のような装置だ。やったな。それが僕でなければ、もっとよかった。
まじないは人を隠した。
繊細かもしれない。
それがどれだけ繊細な状態なのか。一吹きで瓦解するのか、叩こうが蹴ろうが、打ちのめそうがびくともしないのか。今直ぐにでもなくなりそうなのか、五十年でも持つのか。何も分からずにいる。痙攣か影か。どちらもか、どちらかが。
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