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 ○○


 唆そうと。

返すということになった。

埋め込まれたモノを、そのまま埋めておけば良い影が、強壮な影が生まれる。

一月前は抜き取るという話だったのが、今はあげようかという話にすりかわっている。埋めたモノを抜き取っても良いですかと、確認しないといけない。そう添えて。その話が出た前日にはもう抜き取る予定日だったのに、その次の日にこれ。


もめた以上そのまま受けとるという訳にはいかないと伝えていても分かりきった確認を求めて日程をずれ込ませる。そのまま埋めていて欲しいと言っている様なものだ。

道理を守るべき立場で、人を唆そうとする。ろくでもない事だ。影、影、影。影なんぞにそこまでの価値があるのだろうか。


 ○


 正しさ。

透明な勾玉は何も変えませんでした。何ら変化を起こしませんでした。全く。

そう正直に話した。それが本当かどうかは結局分からない。僕の認識する範囲内での知見に過ぎない。それでも、当事者として言った、何の助けにもなっていない。いったい何か変わったのですか。曰く:死後に行き来する。


当然そんなのは詐欺師の口だと言った。検証出来やしないのだから。そうしてそれは返却された。返却された次の日にはあれがあれば影が強壮になり、病を遠ざけ、影は毎月毎月出たろうと言われる。いつもそうさ。過ぎてから決まりきってから、ああ惜しい惜しい。当て擦られる。そういう事は先に言えと言っても一向に直りそうもない。


返すと言った以上そのままだ。しばらくは思い出しては惜しかったと悔やむ。うまくいかない度にあれがあればと悔やむ。効果は抜群だ。鼻先にて遊ばせて消え失せる宝。自分のモノでもないのに我が物が失われた様に感じる。


一見与えて一触奪えば、何物も取らずに喪失を味わわせる。元から無いものが無くなった。正しい事をした。僕は正しさに従った。なのに何の慰めにもならない。なのに繰り返す。正しさに従う。


正しさは無関心だ。僕は正しく損じた。正しい。正しい。その度に止まらずに一つ一つ損ずる。


 ○


 影。

聞いたところによると影というのは皆、僕を親か親戚の様に思っている。1番から11番まで全部そうらしい。一つ位跳ねっ返りがいても良さそうなモノだが。丁寧に隠しているのか本心なのか、今のところ例外はない。

よく頑張って出てきたね。そう労われ迎えられたいそうな。

僕にそれを望む時点で僕の事を認識してはいない。僕を知っていればそれは無いものと直ぐに分かるだろうに。無根拠なしんあいの情はどこから出たのか。不思議だ。刷り込みの様なものだろうか。

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