あ
○○
左右鼻先にて打ち据える。
二度打って振し、一度打って上へ。とんと しゃん。三度打って上へ。右右、左。左左、右。
水面を揺らす鼻先。
断続して波が立つ水面。落ちず、上がらず。一つ。しばししてまた一つ。不規則に一つ一つ一つ。円を成して広がる。
泡は割れた。
○
満月。
満月の到来。許可なく埋め込まれたモノを取り出すのだろうか、定かでなく。埋めても出しても変わらないなら、どちらがよいのかも知れず。勝手に発生した姫は何処かへ、勝手に発生する騎士も何処かへ。姫と来たら騎士は常道か。
倉庫前で絡み合う男女を思い出した。最初は看板が棄ててあるのかと思った。薄暗い道路に縦長の四角。まあでもまじまじ見たら一組の男女だと分かりました。頭から首肩の曲線を認識出来ないと案外人間と思わない。なんだ人間か、見て損した気分。
看板と違って勝手にいなくなってくれるのは楽でいいか。
○
信が不信でも何も変わらないならどちらでも良いのではないのか。約束の日が来ようが来なかろうが。長く待つなら。
必ずや否定せんと、舌なめずりして待ち構えれば慣れる。
約束の日を待つために約束の日を拒絶するようになる。
約束の日が約束の日を待つために最適化された形を否定するから。
約束の日の到来は奪う。待つ日々を。その為の工夫を、それだけの成果を。許せるだろうかそれを。




