314/493
あ
○○
肘は。
今日も痙攣の内をさ迷う。抜本ならず。
腕。一の如く。起落し跳ね振す。
一の如く、一に非ず、二に非ず、一の如し。
指先は虚空を突き刺す。肘に伝う。肘にて打つ。肘の一方は指側、もう一方は肩側。指側は前を、肩側は後ろを、二度打つ。打ったなら上を、上を打ったなら下を、やはり二度打つ。工夫は良しを改める。
もう良しはもう悪し。
夢見はと問われ、忘れたと返す。現実に住む故。
助けてと目が覚めても、助けられずに始まる。
ベンゼン環の如く取っ掛かりになる事もない。
歓喜も悲嘆も何の助けにもならない。
手にした柄杓はすかすかで既に水は随分と滑り落ちた。
横たわる頭上からの流れに浸かる感触。浸りながら既に乾いた。非体の水は潤さずに浸した。慰めて流れた。行く先は何処とも知れず。




