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 ○○


 左カマを失っている。

蟷螂を見た。左の前肢がない。アスファルトに佇む蟷螂。通り過ぎ振り返りまじまじ見て気付く。背を摘まむ。もぞもぞと動く蟷螂。羽を少し広げた。摘まんだまま、歩く。草地を目指した。蟷螂は羽をはみ出させたまま、少し広げては少し閉じて羽を露出させたままにして摘ままれていた。頭は進行方向へ向けていた。やや大きい公園の手前の公道から、やや大きい公園の草地に到着。草の上へ置く。羽をもぞもぞ。発見から数分の出来事だった。体感としては数十秒だった。どちらかがあたりだろう。どちらでもどうという事はないだろう。立ち去った。


帰り道に立ち寄った。一時間半位後か。そういえばとそこを通り過ぎた後に思いだして戻った。蟷螂はいなかった。死んでいるかとも思ったが喰われたか立ち去ったかしたのだろう。


 ○


 お前なら大丈夫だ。

お前なら大丈夫だ。そうはならない。

そう言われた。そうして言った。:誰もが大丈夫じゃないなら止めた方がいい。お前ならっていうのは既に危ない。危険な土壌だ。そのお前も実際にどれだけ大丈夫かはまだ誰も試していない。願望だ。お前はきっと大丈夫。お前は大丈夫であってくれ。わざわざ危険な土壌を構築することもない。


誰もが大丈夫の土壌に進みたい。

甘ったれた願望に過ぎないだろう。


女神の花婿は御免だ。鍋で茹でられるのも洞窟から出てこないのも。予定通りちやほやされて予定通り放り投げられるのも嫌だ。

腐液を吹き掛けて腐るな。叩いて凹むな。集られてなお清らかであれ。あがない。あがなえ。あがなわされる。━━贖う。

油は垂れて花冠はどこか。ばらばらになり、撒かれ、枯渇はあらわされた。


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