あ
○○
神々に恥をかかせたところで何の足しになろうか。
御気持ちだけを受け取っておこう。御気持ちだけで。
満月が来ようと、満月が来る前だろうと。
授けられた力を確認しようとは思わない。
授けられた力が足しになるとは考えない。
授けられた力を僕は全く 知らない。
霊媒がたずねる。:返事はどうする。
僕は応えた。:御気持ちは受け取っておきます。
霊媒はたずねる:つまり。
僕は続けて応えた。:御気持ちだけは受け取っておきます。
霊媒は何やら納得した様子で言った。:そう伝える。
○
宇宙に連れていってあげよう。
夢枕に立った某かが僕の沈黙に満足せず、霊媒に聞きに行かせた。来させられた霊媒は僕にたずねる。:宇宙に連れていってあげよう。返事は。
僕は応えた。:結構です。
○
十一からのキシ
キシを産むだろう。霊媒は言った。
将棋指しが急に出た。何故急に将棋指しが。僕はたずねた。:キシってのは将棋指しの事ですか。
霊媒はキシについて語った。:兵士。近衛。守る。
僕は騎士と分かっていた。が、なるほどとさも今しがた合点がいったとばかりに理解を示した。へえ。ほお。
日本人から騎士が出てくるとは西洋かぶれか。しかし守るときた、何から。僕は自覚がないだけで危険なのだろうか。
僕は霊媒にたずねた。:守る。いったい何からで。
霊媒は短く応えた。:お前から、お前を。
騎士というのは何とも暇なのだろうか。きっと兵隊さんに仕事を取られてやることがないに違いない。
僕から僕を守るとは、いかなることか。おぼえがない。自傷もない。自ら罰する事もない。我が身かわいさ人一倍の男をつかまえて守るとは。不可解なことだ。
○
馬上の武士を騎士と言うなら別に西洋かぶれでも何でもなく僕の恥ずかしい勘違いとなる。しかし、馬と一揃いで武士が出てくるとは考えがたいのではないだろうか。人が出てくるのも今さらながらどうかとは思うが、それはそれとして、人馬一体で出てくるなどとぱっと思い付くものだろうか。致し方ない勘違いではないだろうか。それがたとえ勘違いだったとしても。




