硬い口蓋の筋
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存在しない筋肉を感ずる。錯誤の筋肉は口蓋に在り、左右から狭まる。頭部の筋肉群を馴染ませる。頬、舌、声帯、後頭。どれを主にしてもがたつく。
架空の筋肉 頭に据えて 一致団結やって行こう。
声帯を閉じ、息にて破る。
声帯を閉じ、息にて破らず張る。
声帯を閉じず、息通り張り助ける。
小さく軽く成り行く。閉じずに張る声帯。
流体の抵抗は細やかで、ちょおちょ張る。
声帯の張り為して口蓋に錯誤の筋肉在り。
舌の張り、頬の張り、後頭の張り、皆 遠巻きに助ける。
口蓋の錯誤を得た後は声帯もまた遠巻きに為り助ける。
錯誤を遠巻きに助けるは実在の甲斐性か 疑るべきか。
錯誤にて実在の角を削る未熟を嘆くべきか。
仮初めの主声帯も錯誤に譲って遠巻きに為る。
いつか錯誤は誰に譲るか。
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冷房が仕事始め。
異音を発し、重低の節回し。異音は環境音と異国の言語にも似てなんとも眠りを妨げる。ふと異音、読経の如く感ず。一度そうなれば錯誤は拭い難く、ますます異音読経の如く聞こゆ。気になって寝付けず。冷風と異音の読経に吹かれて横たわり耳を澄ます。朝は遠い。
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鼠の死骸を拾う。
傷もなく、体格良く、尾が長い。左を上に横たわっている。眼球は既に白濁している。ビニル袋越しにぷりとした肉の感触。眼球は既に白濁している。頭と尾が手に余る。ビニル袋に包む。
霊媒に押し付けるか。連絡してみるとやって来た。
鼠は倉庫の北、植木鉢の内に埋められた。
そういば霊媒の庭には蛇が既に埋められていた。鼠には居心地が悪いのか。そういう訳で倉庫の北に鼠が埋まっている。
押し付けそこなった立派な鼠。
倉庫の植木鉢には金魚も埋められていた気がしたが金魚と鼠の相性はよいのだろうか。
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軟口蓋の筋。
声帯に連なり張る。声掠れ、くたびれる。
虚は実を促す、虚は実を和す、虚が実を弱らす事で。
弱る、協力する。弱る、考える。弱る、次を探す。
弱る、負ける。弱る、奪われる。弱る、手を放す。
弱る、分散す。弱る、抑制す。弱る、品を作る。
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主を探す。
従を探す。従を認識したならそれまでの主とその従を入れ替える。従は主に、主は従に、下剋上。また別の、次の従を探す。動作を繰り返す。把握する。主従を入れ替える。次へ。次へ。次へ。入れ替えて入れ替えて疲労して、主を弱らせて、従を探す。動作を助けてくれている従を。認識しづらいけど存在している従を。次の主を。
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従を探す。
動作を繰り返す。主を弱らせる。動作を繰り返す。それでも保つ。従は何処か。常に働いているか。それともまだ怠けているのか。動作を繰り返す。参画せざるをえなくし、捕まえてやるぞ。隣が弱る、健気な働きを繰り返す。痺れが走り始める。そうしたら合図だ。発見は近い。確度は高い。弱らせた主を少し休ませる。負担を減らす分担先はもうすぐだ。
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