あ
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花粉症も去り、穏やかな日々。
ばん。花壇にぶつけられた、何か。倒れた植木鉢。転がる鉢の内容物。幾つかの煉瓦。割れたものはなかった。土を箒で集め塵取りへ、鉢へ注ぐ。折れた枝は一、枝には花が幾つか。生けるか植えるか、とりあえず土の上に置く。
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誘惑。
未来を見たくないか。 きっと、見せられるのは白昼夢。
確認はしていない。
山を登り、坂を上がり、足を棒にして見に行くのは辛い。只辛い。
予見が当たったためしがない。どうせまた外れる。夢なら家で寝て見るよ、と断る。
今や映画鑑賞で事は足りる。新しい映像体験。1800円の神秘。これで十分だ。素晴らしい、安全、本物より。 ずっと。
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素振りをする。
前腕がむず痒い。こぶしが乳歯、歯茎が前腕。抜け落ちて新しくならないものか。痒い。 肘はよし。痛みなし。 指は歯、掌は顎。かぶり付いてもて余す。 諸手で。片手で。片手で。諸手で。
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昔の予見。
学者になる。ならなかった。僧侶になる。ならなかった。武術師範になる。ならなかった。 どれにもならなかった。
ありありとその映像を見て、細部まで眺めて、確信と安心を得ていたのだろう。それを僕に伝えて、結局その人は恥を掻いた。
現実との齟齬が有りすぎた。白昼夢。妄想。願望。
僕はちっぽけな人間だった。想定より。その結果、露呈してしまった。
悲しい事だ。
それらしいだけの夢は。
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