あ
○○
土の塊が参道に転がっている。肥えた烏がくちばしで触っている。
境内の烏と土の塊は 共に黒く やや白い石畳の上で強調されて 異物に思えた。
○
くわくわ くわくわ。
烏が鳴く。くわくわ。
黄色い夕暮れに くわくわと鳴く烏が。
くわくわと鳴く 推定 烏。
くわくわと鳴くモノ 初めて聞いた鳴き声。
よくよく考えると 見て 確認をしていなかった。
また 別の鳥なのかも 知れない。
○
悪夢に飽く灰汁を。
ぬめぬめとして 人が死んだ。
若木の破断を思わせる手軽さで 折られ 髄液を搾られた。
知らない人 見ず知らずの人 裸の異性 想定されていないだろう圧力 最後の言葉は 嫌だ。
小さくも 大きくも ない声で 電話の様に発声した。
飛ぶ夢は 電線に遮られ 引き寄せられ 衝突した。
空を飛ぶべく 羽ばたけば 隙間を目指して飛び立てど ぶつかり たわみ 阻まれる。
電柱埋められ 線地下で 障害無くなり 飛び立てば きっと覚めずに なるだろう。
○
変わらぬ 停滞に 飽き飽きし つつ 続けざるをえない。
また
カゲを搾られるか。
背中の黒子に毛が生える。
満月の夜陰に隠れ 抜き去られる。
起きる訳でもなく 変わる訳でもなく。
霊媒にならない いじょう カゲなど どうでもよいと考える。
○
隠されたモノを放棄し 絵空事を開きもせず 放り投げた。
気も霊も 話の中に居ればよいのだ。
その感触など もう すでに 興味を 持たない。
自身の内に人格は ただ一つ 有れば 事足りる。
上位者も 愛玩物も 同志も それ以外も 無用だ。
そう錯覚させるモノ 全て 勝手に出て行けばよい。
欲する所へ 引き抜かれて行け 知らぬ内に。




